ふぐのひれ
”ふぐ”と言えば、先ず思いつくのが、やはり”ふぐ刺し”、”ふぐちり”というのが、一般的ですが、それらの味わいを、さらに深くさせるのが、”ひれ酒”です。
言うまでもありませんが、”ふぐのひれ”を入れたお酒です。
ただ、お酒を注げば、出来上がりというわけではありません。
ふぐには、胸びれ(2枚)、背びれ、尻びれ、尾びれの計、5枚あります。そのひれを、各々半分にそぐのです。
こんな風に、包丁で半分にします。そいだひれは、血抜きをするため、2、3日真水につけておきます。
そうしてから、板に貼り付けて、3日ほど、天日で干します。
干したら、OKではありません。干しあがったひれを、こんがりと炙ります。その際、炙り方弱いと、生臭いです。一方、炙りすぎると、焦げ臭くて、苦いだけです。
こんな感じの色具合が、理想的です。
”佳肴 季凛”のある富士市も、日中汗ばむような日もありますが、夜になると、冬の訪れを感じる時もあります。そんな時には、ひれ酒を飲めば、体も温まります。是非、機会があれば、ご賞味下さい。
志村
こちらのふぐは・・・
”佳肴 季凛”のある富士市から、沼津の魚市場へ仕入れに行く毎日です。着くまでの道中、考えているのは、「今日は、何があるのかなぁ?」、「魚の相場はどうかなぁ?」、「ふぐの入荷はあるのかなぁ?」といった感じです。
先日もお話ししたように、ここ最近、活きたふぐの入荷があります。殆どが御前崎産で、たまに、沼津産です。
ちなみに、あがった(死んだ)ふぐは、沼津産が殆どです。これらは、唐揚げや、ふぐちりの材料となります。
昨日は、愛知産のふぐの入荷もありました。
”愛知 カネカ”と書かれています。”カネカ”というのは、荷主=問屋の名前です。
愛知県もふぐの主要産地の一つです。特に、知多半島周辺の三河湾で獲れます。
肝心の味ですが、ここ最近、自分が仕入れている御前崎産のふぐと、さほど変わらないのですが、御前崎産のふぐの方が、高値で取引されているのが、現状です。
ちなみに、同じ静岡県の舞阪産のふぐの値段は、御前崎産と愛知産の間とのことです。
昨日の愛知産のふぐは、1.0キロ以下のものばかりでした。理想的なふぐの大きさは、1,2キロから1,8キロです。当然、この大きさのふぐは、高値がつきます。
扱いやすい(専門的に言えば、歩留まりが良い)というのと、味が良いのが、高値の理由です。
そんなお話しのついでですが、では一番高値がつくのは、どこのふぐでしょうか?
九州産です。残念ながら、沼津の魚市場には、入荷がありません。静岡市の市場にも、同じです。じゃぁ、どこ?
築地(東京)です。当店で使っている、生のまぐろをはじめ、良いものは全て、東京行きです。こればかりは、致し方がありません。
それなら、今度築地に行ったら、買ってこようかなぁ~。
志村
今日のふぐも、御前崎産
今日も、相も変わらず、せっせとふぐを卸す、富士市で一番のふぐ好きと自負している志村です。
昨日同様、今日のふぐも御前崎産です。
透き通るような、白い身をしています。これが”釣り”のふぐの姿です。左手に持っているのが、刺身用の身です。一匹のふぐから、これが二つ取れます。
残った”あら”の部分は、鍋、唐揚げ用です。
こちらが、鍋、唐揚げ用です。あまりに白くて、キッチンペーパーの上では、見にくいので、お盆にのせ変えました。
左上の二つが、ふぐの頭です。特に、ほほの辺りの身は、歯ごたえがあります。
その右隣にある四つが、中骨です。ここからふぐの美味しい出汁がでます。色が赤っぽい部分は、ひれを動かすための筋肉です。
その下にある二つの長いものが、あごからお腹にかけての部分で、普通の魚でいうところの”かま”です。ふの場合、この部分を、その形から、”かえる”とも言います。そうです。あの”蛙”です。
一番下の左が、肛門付近のあるひれを動かす骨付きの部分です。”うぐいす”といいます。何となく、鳥のような形をしたいると思いません?
隣の黒いのが、ふぐの”くちばし”です。この鋭さで噛まれたら、指が取れてしまいます。
ふぐは、内臓以外は、全て食べられます。ただし、唯一内臓でも食べられるのが、白子です。この時季はまだ、白子が成長していませんが、これから寒くなるにつれ、大きくなり、その味わいは、まさに”恍惚の味”と言うべき代物です。
ふぐの話しになると、際限なく話してしまうので、今日はこの辺にしておきます。
明日も、ふぐが入荷する予定です。”佳肴 季凛”のある富士市から、沼津市の魚市場へ行くのが、楽しみで、楽しみで・・・。
志村
”釣り”のふぐと”網”のふぐ
10月に入って、遠州灘のふぐ漁も、いよいよ解禁になり、昨日(10月6日)、沼津の魚市場にも、初物が入荷しました。
昨日の入荷は5本で、御前崎産です。
御前崎をはじめとする、遠州灘産のふぐは、”釣り”で獲られたふぐです。夏の間、自分が沼津の市場で仕入れたふぐの殆どは、”網”で獲られたふぐです。
実は同じふぐでも、この二つには、大きな違いがあるのです。
身の質が全く違うのです。もっと言うと、味が全然違うのです。我々料理人は、「身持ちが違う。」などと、よく言います。
”釣り”のふぐは、身に透明感があり、ふぐ刺し特有の歯ごたえも、長持ちするのです。ですから、卸してから、最低でも、2日は寝かさないと、ふぐ刺しの甘味は、味わえません。
”佳肴 季凛”で、刺身にするふぐは、”釣り”が中心です。もちろん”網”のふぐにも、身の良いふぐもいるので、それらは刺身用にします。
ところで、何故そのような違いがでるのでしょうか?
”網”で獲られたふぐは、沢山の魚と一緒に、網の中にいます。簡単に言えば、満員電車の中そのもです。そんな窮屈な中にいれば、ストレス、疲れを感じます。ふぐの身も、自然と疲れます。当然、味も落ちるのです。
”釣り”のふぐは、釣られた直後は興奮していますが、生簀でしばらく泳ぐことで、落ち着き、疲れからも開放され、当然、身の味も落ちることはありません。
昨日仕入れた3本のふぐのうち、2本のふぐに釣り針が入っていました。
ふぐの歯は、鋭いので、ハリスは針金です。卸すときはいつも、これらで指を怪我しないよう注意しています。もちろん、鋭いふぐの歯にも、注意します。
機会があれば、是非この違いを、味わってみて下さい。
志村
ふぐの季節が・・・。
ここ2,3日、気温も下がり、秋の訪れを感じます。朝起きるのも、億劫になりがちですが、仕入れとなると、富士市から、沼津の魚市場に行くのもなんのそのの志村です。
また、市場にも秋が少しずつ訪れてきました。特に、お彼岸を過ぎると、そんな気配がします。
これからの時季は特に、秋というより、冬の魚の入荷が始まります。そんな魚の代表が、ふぐです。
今朝も一本だけですが、とらふぐがいました。冬が旬の魚の代表格です。このふぐの産地は、沼津です。
“トラ 0,8”と書かれていますが、その隣に書かれているのが、このふぐを獲った船の名前です。これからの時代は、産地だけでなく、いつ、誰が獲ったのか、ということまで、記さなければならなくなるのかもしれません。
ちなみに、沼津の市場でこのように記すのは、”セリ”の関係です。
季凛ではこのような天然のとらふぐを使用しております。また、これからの時期は、遠州灘や愛知産のふぐの入荷も増えてくるので、機会があれば、是非本物の味を堪能してみてください。
志村