あかめふぐのたたき
ちょっと前に、“あかめふぐ”のお話しをしました。
この“あかめふぐ”も、南伊豆・妻良(めら)の定置網にかかったものです。先週の金曜日も、一本だけ入荷がありました。
このように活きているので、いわゆる“ふぐ刺”のように、薄造りにしますが、ちょっと趣向を変え、会席のコースの酢の物に使ったりもしています。
卸した“あかめふぐ”です。尾びれを取ってあるのは、食べられないからです。つまり、毒があります。もっというと、皮が食べられないふぐは、ひれも食べられません。ですから、そういうふぐのひれは、ひれ酒にはなりません。
これを、三枚におろしてから、氷の上にのせ、バーナーで焼き目をつけ、“たたき”にします。
焼き目がついたら、氷水に落とし、余分に火が入らないようにします。それを、小さく包丁します。
こちらが、本日の酢の物の“あかめふぐのたたき”です。
“あかめふぐ”の下に敷いてあるのが、こちらです。
黒いのが、若布で、透明なのと、紫色をしているのが、“海藻クリスタル”というものです。紫色をしているのは、紫キャベツの色素で色をつけているからです。
“海藻クリスタル”とは、海藻のエキスである“アルギン酸”から作られたなんちゃって海藻です。プチプチした食感が特徴で、サラダに入れても、美味しく召し上がれます。
今が旬の新玉ねぎを使ったドレッシングを、かけてお出ししています。酢の物というと、蛸や胡瓜を使い、土佐酢や三杯酢をかけたものを思い浮かべがちですが、“佳肴 季凛”の酢の物は、こんな風に、サラダっぽく仕立てています。
今の時代、会席料理に限らず、コース料理はそれほど決まりごとに制約されなくなりましたが、自分の個人的な意見として、食事の前の一品は、酢の物だと考えています。
これは、昔からのスタイルでもあります。ですから、会席料理を食べていて、酢の物が出てくると、料理も終盤ということを、意味しています。
また、「酢の物を見れば、その料理人の腕が分かる。」という人もいます。何故そんなことが言われるのかは、分かりませんが、思うに、創意工夫が出来るからだと思います。
料理の格言に、「素材に勝る味付けなし。」とあります。刺身は、普通に醤油、魚によっては、ポン酢などが、一番美味しく食べられます。
焼物は、素材が良ければ良いほど、オーソドックスなもの(塩焼、照焼、西京焼)に限ります。ですから、この二つの献立は、余分に手を加える必要はないと、思っています。
だからこそ、酢の物に工夫が出来ると、自分は思っています。まだまだ、勉強中ですが、酢の物は自分なりに、工夫しているつもりです。面白そうな酢の物があったら、是非教えて下さい。
志村
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