刺身と西京焼用の鰆(さわら)
料理が好きで、料理人になって、3分の1世紀。そして、誰が名付けたのか、熱血料理人。
そんな料理への想いや日々の様子を、 熱血料理人の店主・志村弘信が3491回目の今日も認(したた)めます。
明日は沼津魚市場が休みであるだけでなく、今日のバスツアー用のお客様にお出しする魚を仕入れるため、定休日でしたが、沼津魚市場に仕入れに行って来ました。
館内に入ると、
下田産のきめじの仕分けをしているところで、きめじとは、黄肌鮪(きはだまぐろ)の若魚のことです。
刺身にするには、願ったり叶ったりだったのですが、
最低でも8キロだったので、諦めることにし、物色していると、
福井県産の鰆(さわら)が入荷しており、
時季的にもいくらか早いだけでなく、スリムだったのですが、
一番大きい4,4キロのものが目に留まり、
鮮度も良かったので、
仕入れることにしました。
刺身用の分量には多かったのですが、半身を刺身、もう半身をコース料理の西京焼にするので、サイズとしては、何ら問題はありません。
西京焼と言えば、自分が西京焼の中でもっとも好きな魚が鰆なのですが、
当店謹製【西京漬】に仕立てないのは、いくつかの理由があり、それらについては、改めてお話しさせて頂きます。
その後、冷凍ものを扱う売場に行くと、
前注文しておいた【西京漬】用の銀鱈(カナダ産)が、
用意されており、
“47-9”というのは、自分の買い番で、タイミングよろしく、
手が空いていた売場の担当者が積んでくれ、鰆が斜めになっているのは、
箱の方が長いからで、箱が壊れないように、周りを養生しただけでなく、法定速度内の安全運転で帰ることにしました。
【佳肴 季凛】に戻ったら、
銀鱈の箱を開け、
明日仕込む4本を分け、女将兼愛妻(!?)の真由美さんに手渡ししてもらい、
冷凍庫へしまっておきました。
今日のバスツアーのお客様のように、大人数の御席がある時は、ルーチンの段取りを済ましたら、料理の盛付を優先するのですが、今日は到着時間も遅めだったので、
魚というか、鰆の下拵えから始めることにしました。
ところで、鰆という名前の語源は、
狭(さ)つまり狭い腹のさはらが転じて、さわらになったと言われています。
まな板に乗せ、
包丁で、
鱗を取り、頭を落すと、
案の定、時季尚早ということもあり、脂は薄めでした。
水洗いを終え、
三枚に卸すと、
無事に身割れさせることなく、卸すことが出来、無事とお話ししたのは、鰆は魚の中でも、最も身割れしやすい魚の一つだからです。
刺身にするため、
上身(うわみ)は、上(かみ)と下(しも)に分け、上身とは、頭を左にした時に上になる方の身のことで、上はコース料理の西京焼用で、下は刺身用にします。
一方の下身(したみ)も、上身同様、下の方を刺身、上を西京焼にすることにしたのですが、
身割れしやすい魚ゆえ、切り出した部分から見た目が良い部分が必要なので、
斜めに包丁しました。
そして、上身も下身も西京焼用の切身にしたら、
とりあえず、冷蔵庫へ。
刺身用のものは、
皮に包丁で切れ目を入れ、
氷の上に乗せ、バーナーで炙ったら、
裏返して、
水分を拭き取ったら、
柵取りし、
切り付け、
盛付ける時は、黒い皮目の背と、
白い皮目の腹を組んで、盛付けました。
頭と中骨は、
焼いてから、出汁を取るのですが、
かまや切り落としは、西京漬にして、賄い行きです。
全ての盛付けが終わったら、
真由美さんが、まな板周りの掃除をしてくれ、
準備が整い、 予定よりも早く、
バスが到着。
行程に余裕があったこともあり、普段のランチのような流れに近く、料理をお出し、今日のお話しの主役にして、日本料理の華の刺身に仕立てた鰆は、
小肌(佐賀産)、湯葉に、卸したての本山葵を添え、お出ししました。
御食事を終えたら、いつものように、
お見送りをし、片付をしながら、有機JAS認証済の西京味噌をベースにしてお手製の西京味噌と共に、
鰆を真空パックし、鰆は、コース料理の焼物ゆえ、パックごとに数を書き、冷蔵庫へ。
今月の終わり頃になれば、脂も乗り、今日以上の鰆の入荷も期待出来、魚市場に行く楽しみが増え、良き食材こそに勝るものはありません。
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