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クマサカフグ

今朝も沼津魚市場に、仕入れに行って来たのですが、一番最初に向かったのは、いつものように、

活魚売場でした。

 

生簀を覗いていくと、

フグ、①と書かれた札がありました。

 

“ふぐに魅せられし料理人”の自分にとってのふぐは、何をさておき、天然のとらふぐですが、ふぐと名がつく以上、素通りは出来ません。

 

生簀に入っていたふぐは、

これまでに見たことがない模様があり、手に取ると、

時々、唐揚用に仕入れるさばふぐ(標準和名 シロサバフグ)に似ているものの、斑点があったり、棘(とげ)の状態も、全く違うものでした。

 

また、食用可能とされている約20種類のふぐ類にはないふぐでしたので、売場の担当者に、「このふぐは、食べられるふぐではないはずだから、何かの間違いがないように、セリにかけないようにした方がいいよ。」と、伝えました。

 

すると、担当者は、「珍しいふぐだから、どうしようと思っていたけど、季凛さんが言うなら、すぐに放流しますよ。」と、言ってきました。

 

その後のやり取りは、以下の通りでした。

 

「それなら、自分にもらえるかな?ハイブリッドふぐ(交雑ふぐ)の可能性もあるし、Facebook友達に、ふぐの研究者がいて、訊いてみたいから。」

 

「へぇ~。板前さんが、何でそんな人を知っているんですか?」

 

「ふぐについては、どんな些細なことも知らないと、気が済まないし、それぐらいふぐが好きなのよぉ~。」

 

「・・・、恐れ入りました。それなら、結果を教えてください。」

 

というわけで、

ちゃんとした形で持ち帰りたいので、

締めることにしました。

 

ふぐ類は、その名の如く、膨らむ習性をしており、それが可能なのは、肋骨がない構造ゆえのことですが、その膨らみ方は、これまで手にしたことがあるふぐ類の中でも、一番とも言える感じでした。

 

仕入れを終え、【佳肴 季凛】に戻り、Facebook友達に、ふぐの研究者に写真と、体表面の特徴を送ると、「クマサカフグに見えます。サバフグの仲間で、毒性不明のため食用できません。どちらかと言うと南方系のふぐです。」と、返信がありました。

 

そして、「今朝の売場に出ていたのですが、少なくとも、食用可能なふぐではないと思ったので、販売しないようにしてもらいました。」と、返信したところ、「沖合いを回遊するフグですが,まとまって獲れたという話を聞きません。ときどき,単発で見かけます。」と、回答してくださいました。

 

そのまま廃棄処分でも構わなかったのですが、実は、魚市場で行き合う居酒屋さんに差し上げることにしました。

 

というのも、その方は、色んなふぐ類でふぐ提灯を作る名人で、このふぐ類を手にしていた自分を見ており、興味津々の眼差しで、見ていたからです。

 

すぐに連絡を取り、顛末を伝えると、「あの膨らみ方なら、いい提灯が作れそうです。有難うございます♬」と、案の定の快諾でした。

 

ということで、

濡れた新聞に、

包み、明日魚市場で渡す準備をしておきましたが、どんな仕上がりになるのか、気になるばかりです。

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