ふぐ皮の仕込み(その1) 粘膜編
ふぐ料理の華と言えば、
やはり“ふぐ刺”です。繊細な味わいにして、特有の歯応えが、その身上でもあります。その真ん中に盛り付けられるのが、
独特の食感が特徴の皮を湯引きしたものです。ふぐの皮ですので、ふぐ皮と呼ばれていますが、その仕込みは、かなり手間がかかるものです。
【佳肴 季凛】のふぐ料理でお出ししているふぐは、
活きた天然のとらふぐです。活きているので、
当然、膨らみます。卸す時は、頭の付け根に包丁を入れ、締めてから、くちばしの部分を取り、ひれを切り落としてから、
背の黒い部分を剥ぎ取ります。写真の赤くなっているところが、包丁で締めた後です。その次に、
お腹の白い部分を、剥ぎ取ります。剥ぎ取った皮は、
このようになっています。黒い皮の部分を裏返すと、粘膜がついているので、
これを取り除かなくてはなりませんが、この仕事が、かなりの手間なのです。一方、白い部分も、
同じ様になっており、全く同じ仕事をします。この粘膜は、“なめたれ”と呼ばれていますが、その毒性については、不明ですが、見た目や食感からいっても、好ましいものではありません。
皮は、二層になっているので、内側の部分の皮下組織を引っ張ると、二つに分けることが出来、
このようになります。一方、黒い皮も、
同じように、分けることが出来ます。
両方の部分の内側に付いていた皮下組織の部分は、“とおとうみ”と呼ばれ、食べることが出来ます。ふぐは、卸してから、
身に付いている皮を、
切り取るのですが、
この部分を、身皮(みかわ)と呼んでいます。身皮は、三河と読み変えることが出来、皮下組織の部分は、身皮に接しています。つまり、三河の隣りは、遠江であることから、この皮下組織のことを、“とおとうみ”と、洒落ているのです。
身皮を切り取った身は、
晒にくるんで、
天然のとらふぐの場合、最低でも2日経たないと、水分が抜けないので、美味しいふぐ刺には、仕立てられません。
身のお話しはさておき、皮についてですが、皮、とおとうみ、身皮と分けても、ふぐ皮の仕込みは終わりではなく、とらふぐには、棘(とげ)があるので、これを取り除く仕事があり、これもかなりの手間がかかります。これについては、次回以降お話しします。
なお、ふぐの棘については、予習していただけると、分かりやすいと思いますので、こちらをお読みになって下さい。
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