魚市場が、単なる仕入れ先ではない理由
6月6日
Vol.4411
自分にとっては
魚市場は
単なる仕入れ先では
ありません
その理由とは・・・

いらっしゃいませ
マクロビオティック
(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ
西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼
熱血料理人の
志村弘信が
今日も認(したた)めます
今朝
沼津魚市場から戻ると
熱血君が
やって来ました

「おはよう、親方
この魚が
カツオじゃないのは
分かるけど
キメジじゃないよね?」
「そうだよ
目近鮪(めじまぐろ)だよ」
と、自分
こんな風に訊いたのは
このところ
黄肌鮪(きはだまぐろ)の
幼魚のキメジを
仕入れているからです
「言葉だけじゃ
伝わりにくいから
いつもみたいに
市場時間に
戻るよ」
「わぁ~い♬」

ということで
時計の針を
戻します

今朝、沼津魚市場に行くと
静岡県焼津産の
目近鮪(めじまぐろ)の
仕分けをしているところでした

その中から選んだのが
2,2キロのもので

水揚げしたのは
焼津の風神丸です

マメジとあるように
目近鮪は
本マグロの幼魚で
マ=真ですので
漢字で書くと
真目近になります
一般的には
めじ鮪は
本マグロの幼魚を
指すのですが
沼津は
和歌山、宮崎などの
他所の漁船が
マグロ類の
水揚げをするので
他のマグロ類と
区別するため
あえて、マ=真を
付けているのです
ちなみに
他のマグロ類で
多いのが
黄肌鮪(キハダマグロ)や
その幼魚の
黄目近(きめじ)で
先週も

週明けと週末に
仕入れました


ところで
静岡県内の人にとっては
沼津と焼津は
別ものなのは
百も承知です
県外の方達のための
補足させて
頂きます

沼津市は
東部地方に位置し
地図の右側にあり

焼津市は
中部地方に位置し
同じく真ん中にあります

ご存じの方も
いらっしゃるかも
しれませんが
静岡県は
東西に長く
155キロもあります
「静岡の地理は
いいにして
メジマグロの説明は
あんな感じで
いいかな?」

「うん、分かったよ
あざ~っす♬」

水洗いを終えたら
片身だけ
卸しました

「キメジよりも
少し色が
濃いんだね」

分かりづらいかも
しれませんが
こちらが
キメジになります

骨付の身は
弱めの真空パックをして
氷詰めにしておきました

背と腹に分けたら
皮目に包丁を入れ

バーナーでFIRE

炙り終えたら
粗熱を取るため
すぐに返し
このまま冷蔵庫へ

早速、ランチタイムに
〆鯵(しめあじ)
湯葉と共に
お出ししました

「皮の黒
身と間の白
身の赤の三色が
いい感じだよね~」
「目近鮪ならではの
色目(いろめ)で
いいでしょ
こういうのを仕入れて
良さげだと
楽しくて
たまんないよ!」
「でもさぁ
卸してみて
ハズレを引くことって
あるもんなの?」
「あるわけないじゃん
失敗しないのでwww

冗談ともかく
打身(うちみ)
って言って
ぶつかった身が
赤黒くなっている
ことはあるけど
その部分を
包丁すれば
問題ないよ
赤身の魚だから
色持ちだけは
何とも言えないけどね
まぁ、この感じだと
日曜日までは
無理だけど
土曜日までかな」
「仕入れる時って
どこを見るの?」
「先ずは、えら
鮮やかな赤が
一番の条件だね
次が
皮を触った時に
ヌメリの有る無しかな」
「へぇ~
こんだけなの?」
「あとは、勘!」
「勘って・・・
勘!?」
「そうだよ
勘って言うと
当てずっぽう
みたいな感じだけど
経験の上での勘だから
そんなに
外れることは無いよ」
「へぇ~」
「マメに
市場に行っていれば
色んな魚を見て
目が肥えるじゃん
特に、沼津は
伊豆半島だけじゃなく
他県の漁師も来るから
色々と教えて
もらえるんだよ」
「さっき、和歌山とか
宮崎って
書いてあったもんね
ってことは
漁港がある市場の
一番のメリットを
活かしている
ってことじゃね?」
「そうだよ
あとさぁ
市場に行っていると
料理人だけじゃなく
魚屋の知り合いが増えて
使った魚の良し悪しの
情報交換が出来るから
そういうのも
魚の目利きの目安
になるんだよ」
「そんだけ得するなら
早起きは三文の得
どころじゃないじゃん!」
「そうだよ
魚の目利きは
大事なんだけど
漁師と知り合いになると
漁業の現状が
分かるし
和食って
魚菜食文化だから
そこを素通りする
わけにはいかないんだよ」
「それって
親方がよく言ってる
料理人は
一次産業の代弁者に
ならなきゃならない
ってことでしょ?」
「そうそう
漁港がある地方の市場に
通う料理人の義務
だと思っているからね
その考えをベースにして
日本料理文化を
守っていかなきゃ
ならないんだよ
他の仕込みもあるから
この辺にしておくよ」
「はぁ~い♬」

熱血君と話しながら
刺身の盛り合わせを
用意すると

「持ち帰り用の容器
っぽいけど
この刺身って・・・?」
「常連さんの
誕生日プレゼント用だよ」
「わぁ~
んまそうじゃん
真ん中のまぐろは
赤い色が濃いけど
めじまぐろとは
違うの?」
「冷凍の目鉢鮪
(めばちまぐろ)で
他は湯葉と
酢で締めた
目鯵(めあじ)なんだけど
チビッ子がいるから
鮪を多めにして
あげたんだよ」
「ここんちの
チビッ子が
裏山C(うらやましい)」
「タイミングがあえば
作ってあげるから
今日は我慢していてよ」
「わぁ~い♬」
ちなみに、冷凍の目鉢鮪は
丸(1本の状態)でもなく
卸し身や塊でもなく
切落しとして
売られています
こんなアイテムに
出会えるのも
自ら魚市場に
行っているからで
先程の話も含め
どこまでいっても
魚市場は
自分にとっては
学校ような存在です
ということで
生涯勉強し続けるしか
ありません www

「今日のお昼は
銀鱈の西京焼を
おかずにしたんだぁ
そんじゃ、また」
by ふぐとらちゃん
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