鱧料理のマストアイテムの落とし(湯引き)を、活かしの鱧でしか仕立てない理由
6月2日
Vol.4407
鱧料理のマストアイテムの
落とし(湯引き)は
活きたものでしか
仕立てません
その理由とは・・・
いらっしゃいませ
マクロビオティック
(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ
西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼
熱血料理人の
志村弘信が
今日も認(したた)めます
昨日のお話しの
「活きたハモの身って
透き通るくらいに
きれいなんだね」
と、ふぐとらちゃん
「そうだよ
10分前までは
活きていたからね」
と、返しました
ということで
10分前の様子を
再現します
この鱧の
頭の付根を
掴んだら
この辺りに
包丁を入れ
締めます
頭の付根を掴むのは
この辺りに
心臓があり
ここを掴むと
動きが鈍くなるからです
鱧に限らず
鰻(うなぎ)や
穴子(あなご)の
ような長い魚には
共通しています
少しでも
場所がずれると
腕に絡み付いてくるだけでなく
鱧の場合は
絡むどころか
噛み付いてくるので
気を抜くことが出来ません
締めたら
脊髄に針金を刺し
神経を抜きます
一般的に
神経を抜くのは
死後硬直を
遅らせるためですが
鱧の場合
卸す時に
動くと
卸しづらいからです
水洗いを終えたら
まな板に乗せます
「ワァ~はっは
ハモの顔が
可笑し過ぎじゃん」
「そうだよね
噛み付かれても
怪我をしないように
先端を落とすんだよ」
「へぇ~
それにしても
変顔www」
ということで
卸し終えた鱧です
骨切をしたら
落とし用に
包丁しておきました
落としとは
鱧料理のマストアイテムで
湯引きとも
呼ばれています
すぐには
落としにはしません
というのも
落としに仕立てて
冷蔵庫に入れておくと
皮のゼラチン質が
固まってしまい
食べた時に
ゴワゴワして
美味しくないからです
なので
お客様が
ご来店してから
落としに
仕立てなくてはなりません
塩を入れ
沸騰したお湯に
皮目だけ
少し浸けた後
花が咲いたように
なったら
氷水に落とします
というわけで
落とし
なのです
そして
黄目近(きめじ)
〆鯵(しめあじ)
湯葉と共に
盛付け
鱧は梅肉醤油で
召し上がって頂きます
他の三種は
醬油で供します
落としは
活きたもので
仕立てたので
見た目も
ふんわりとしています
一方
活〆の愛知県産の鱧で
仕立てたものは
ふんわり感がありません
「どう?」
と、訊くと
「確かに
ふんわりしていないね
当然
味も違うんでしょ?」
「もちろん!
活かしの方
っていうよりも
活〆の方は
味が抜けたような
感じなんだよ」
「そんなにも違うの?」
「だから
落としには
活かしのものしか
使わないんだよ
さっき言ったように
落としにして
完全に冷やしたものも
使わないんだよ」
「そこまで
気を使うんだぁ~」
「そうだよ
じゃないと
本当の鱧の美味しさを
味わえないし
「そうなんだぁ」
「じゃ、訊くけど
大したことがない鱧を
最初に食べたら
その後に
鱧を食べる?」
「食べないね」
「でしょ
じゃあ
鱧の美味しさを
知っていて
そういう鱧を食べたら?」
「がっかりするね」
「どっちにしても
ちゃんとした鱧を
使うしか
答が無いってことよ
だから
活かしの鱧1本
のためだけにも
仕入れに行くんだよ」
「そうなんだぁ」
「たださぁ
一日経って
脂と旨味が
身に回るから
加熱すると
魚へんに豊って
書くだけに
美味しいんだよ」
「へぇ~
そういうのは
他の魚と
同じなんだね」
「そりゃそうだよ
魚だしね」
そんな活〆の鱧で
仕立てたのが
以下の料理です
◆天ぷら
◆鱧しゃぶ
小鍋に
鱧のあらを焼いてから
煮出した出汁をはって
お出しします
鱧の身を
鱧の出汁で味わうので
美味しいの
一言に尽きます
当然、優勝です
◆鱧しんじょう蒸し
鱧と白身のすり身を
合わせたものに
鱧の身を乗せ
蒸し上げたものです
薄味で調えたあんをはり
このあんも
鱧の出汁が入っています
また、すり身には
生クリームが入っているので
ふんわりとした
食感です
◆鱧茶漬
照焼にした鱧を
御飯の上に乗せ
鱧しゃぶの出汁を
薄めにした出汁で
召し上がって頂きます
ということで
料理の仕立て方次第で
鱧を使い分けなくては
なりません
なお
そのため
鱧料理のご予約を
頂いた時には
落としを
どうしても
食べたいのかどうか
ということと
出来るところまでで
構わないのかどうか
をお訊ねしています
また、鱧は
天候次第で
水揚げが大きく
左右されるだけでなく
連休があると
入荷そのものが
難しくなります
ご要望については
可能な限り対応させて
頂いておりますが
特殊な食材ゆえ
一筋縄では
いかない点があることも
ご理解のほど
くれぐれも
宜しくお願いします
「今日の昼ごはんも
んまそうだったね
そんじゃ、また」
by 熱血君
コエタス
当店のお取り寄せや
通販の商品などを
召し上がった方々が
投稿して下さっています
ご興味、ご関心のある方は
御覧ください
コメントを残す