頂き物の太刀魚(たちうお)
Vol.4259(1月6日)

いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今回は
頂き物の太刀魚
についてお話しします。

「おはよう、親方
ピカピカの太刀魚じゃん!
市場が休みなのに(注1)
どうしたの?」
と、ミニふぐちゃん
(注1)ホームグランドの
沼津魚市場は
土曜日が休市日です
「おはよう
常連さんから貰ったんだよ。

ちょっと不揃いだけど
大きいのは

指4本サイズだよ。」
「デカっ!」
「太刀魚は
目方よりも指の幅で
大きさを言い表すんだよ。
そうは言っても
目方で取引されるんだけどね。」
「へぇ~。
で、この太刀魚は
どうするの?」
「おかず(賄い)と
明日のお弁当の揚物にするよ。」
「え゛~っ!
いいなぁ~」
頭と尾の細目の部分を包丁し
はらわたを抜いたら
水洗いをしました。

三枚に卸したら

厚みのある
形の良い部分を
お弁当の揚物用に
包丁し

みじん粉をつけ

冷蔵庫へ。
最初は
鯵(あじ)を使う予定でしたが
急遽、変更。
ちなみに、鯵は
三枚に卸したものを
常時30枚以上
真空パックして
冷凍してあります。
なので、余程のことが無い限り
全く問題ありません。
卸し身は
天ぷらにして
早速、昼ご飯行きです。

「んまそう」

「普段、いい子にしているから
神様がご褒美をくれたんだよ。」
と、言うと
「それでも
いいんじゃね。
太刀魚って細い魚だけど
脂はあるの?」
「ベラボーに乗るってことはないけど
上品な脂だから
塩焼が定番だよ。」
「ふぅ~ん。」
「太刀魚に限ったことじゃないけど
脂が乗っている魚を揚げると
ふんわりして
美味しいんだよね。」
「揚げる時でも
脂が乗っていた方が、いいの?」
「そうだよ。
脂が無い魚だと
パサパサして
食感も悪く
イマイチなんだよ。」
「そうなんだぁ~。」

あらの部分は

出汁を取るため
焼いておきました。
焼くことで
生臭みが消え
魚本来の出汁の旨味を
引き出すことが出来ます。
このような出汁は
昆布と鰹節だけで取った
いわゆる一番出汁には無い深みがあり
煮物などに使うと
その違いが分かります。

明日のお弁当の煮物も
その出汁を使って仕込みました。
日本料理には欠かせない出汁は
水が豊富な国土のたまもので
よその食文化には無い独特のものです。
その伝統を受け継ぎ
次の世代に繋ぐための
努力を怠ることなく
日々の仕事に臨み続けます。
「明日のお弁当の道具の
準備も出来たね。

そんじゃ、また」 by ふぐとらちゃん
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