長崎県・壱岐産の赤烏賊で始まり、終わった一日
今朝、沼津の魚市場に行くと、
このように、自分の立っているところから、赤い服を着ている人(市場の職員)のところまで、同じ発泡スチロールが並んでおり、中身は、
赤烏賊でした。赤烏賊とは、関東圏での呼び名で、標準和名(正式名)は、剣先烏賊(ケンサキイカ)です。
そのまま職員が仕事をしているところまで行くと、
まだ荷物を、並べている最中でした。こんな状況を、市場では、“お祭り”だとか”フェア”と呼んでおり、否が応でも、相場は、お値打ちになります。
ちなみに、これら全ての産地は、
長崎県・壱岐で、それぞれに、
船の名前が書かれており、
色んな船から、
水揚げされたことが、
分かります。水揚げした船は、これらだけでなく、赤烏賊の数同様、数えきれないくらいでした。
セリが始まる直前に、
蓋が開けられると、それこそ鮮やかな赤褐色が、目に飛び込んで来ました。直前まで、蓋を開けないのは、空気に触れると、色が変わる、つまり鮮度が落ちるのが、早くなるからです。
これだけあると、大きさも大小様々で、大きいものは、
1ケースに、2列ならんで、12ハイ入っており、小さいものは、、
同じく4列で、40ハイ入っています。ちなみに、2列のものは、2立て、4列のものは、4立てと呼ばれています。写真には、ありませんが、それぞれの中間の大きさのものもあり、そんな時は、〇立て半などとも呼んでいます。
料理屋、鮨屋、魚屋など、それぞれの使い勝手や、売りやすさもあるのですが、一番高値がつくのは、大体の場合、大きいもので、理由は、味が良いからです。そうこうしていると、セリが始まり、
自分が、セリ落としてもらったのが、
2立ての12ハイ入りでした。
この他の仕入れも済ませ、【佳肴 季凛】に戻り、赤烏賊の仕込みをしたのですが、先ほどお話ししたように、空気に触れたことで、身の色は、
このように、変わってしまいました。さらに、身についた墨を落とすために、水洗いをすると、
さらに、色は落ちてしまいました。赤烏賊に限らず、魚介類の水洗いは、出来るだけ最小限にしないと、鮮度だけでなく、味も落ちてしましいますので、細心の注意が必要なのです。
一方の下足(げそ)は、掃除してから、
軽く湯がき、
調味料と共に、真空パックし、
スチームコンベクションオーブンで、低温で、加熱しました。こうすることで、旨味が逃げないだけでなく、保存性も高まり、この調理法を、真空調理と呼んでいます。仕上がった下足は、
このようになりました。
また、身の部分は、皮を剥き、
刺身で使えるようにしたのですが、これだけあると、一度に使うことは出来ないので、
真空パックして、マイナス40度で、冷凍しておきました。このようにするのは、急なご予約や、天候不順により、魚の入荷が思わしくない時に備えてのことです。
ただ、真空してあるとは言え、冷凍するので、味が落ちるのは、否定出来ませんが、商売である以上、一定のレベルで、料理を提供するとなると、色んな形での工夫は、どうしても必要なのは、ご理解して頂けると、幸いです。
そんな赤烏賊ですが、
身と下足を、このように盛り付けてみました。歯切れの良い食感と、甘味のバランスは、濃厚かつ繊細の極みという表現が、相応しいとしか言えません。
また、お客様にはお出し出来ない下足、くちばし、みみの部分は、墨を混ぜてから、炒め、
晩酌のつまみにしました。
また、お昼は、一緒に仕入れてきた鯵(三重)を叩きにし、みみの部分と一緒に、酢飯に乗せ、
二色丼にしました。
こうして、朝の仕入れから、夜遅くのブログの更新まで、今日は、赤烏賊で、終わったのでした。
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