脂乗り乗りの西京焼用の鰤(ぶり)は、北海道・羅臼産
Vol.4201
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(11月9日)は
コース料理の西京焼に仕込んだ
脂乗り乗りの鰤(ぶり)について
お話しします
「おはよう、親方
今日もガッツリ仕入れて来たね。」
と、ミニふぐちゃん。
「おはよう
ガッツリでもないけど
昨日の魚の仕込みもあるから
かなりハードだよ。」
と、返しました。
「なんなら
猫の手じゃなく
ふぐのひれでも
貸そうか?(笑)」
「マジで頼みたいよ。」
「で、今日の仕入れを教えてよ。」
「そうだね。
じゃあ、いくよ。」
①北海道・羅臼産の鰤(ぶり)
②静岡・由比(ゆい)産のさばふぐ
③静岡・由比産の鱸(すずき)
④福島産のとらふぐ
「①~④までで
どれが一押しなの?」
「どれだと思う?」
「ふぐ好きの親方だから
④のとらふぐかな?」
「はい、はずれ~!」
「え゛~っ
そんなことあるの?」
「そりゃ、あるさぁ。」
「で、どれなの?」
「これだよ、これ
鰤!」
「ブリって言えば
このところ、よく仕入れているよね。」
「そうだね。
コース料理の西京焼に
使っているからね。
ただ、今日の鰤は
かなり期待できそうなんだよ。」
「どうしてなの?」
「市場で見本を見たからだよ。」
「見本って、見本?」
「そうだよ、サンプル。」
「一匹の魚なのに
どういう風な見本なの?」
「そう言っても
分かんないだろうから
市場の様子から話してあげるよ。」
「わぁ~い♬」
ということで
今朝の沼津魚市場です。
構内を歩いていると
鰤を並べているところでした。
売場の担当者が
袋から取り出したのが
卸し身で
スチロールには
見本の文字。
見本はあくまでも
この鰤の卸し身ですが
同じ浜=水揚げ地にして
同じ漁場(ぎょば)ですので
はずれる可能性は
高くはありません。
氷に覆われてはいても
丸みを帯びた魚体ですので
肥えています。
鮮度を確認するため
えらを見ると
鮮やかな赤い色をしているので
この鰤に即決。
「こういう流れで
この子が来たんだぁ~」
「この子って・・・。
君達よりも
ずっと大きいんだけどね。
まぁ、君達の態度は
5L サイズだけど。(笑)」
「・・・・・。」
こ鱗(うろこ)が細かい鰤は
包丁を使って
鱗を取り除き
頭を落とし
水洗いしたら
切口の身の乳白色に
ひと安心しながら
卸しました。
「親方、やたら白いんだけど・・・。」
「この白さが
脂が乗っている証拠だよ。」
「ってことは
見本通りってこと?」
「そうだよ。
卸すまでは分かんないけど
してやったりって気分だね。」
「わぁ~い」
背と腹に分け
切身にしたら
有機JAS認証済の西京味噌を
べースにしてお手製の西京味噌と共に
真空パックし
冷蔵庫へ。
他の仕込みをしながら
用意したのが
「親方
これは?」
「腹骨とか
血合い骨を塩焼にしたんだけど
今日の昼ごはんのおかずだよ。」
「骨ばっかりで
食べるところあるの?」
「食べるっていうより
しゃぶるって感じかな。
でも、しっかり身はあるし
脂も乗っているから
十分なおかずだよ。」
「聞いているだけで
んまそう~」
「魚好きには
たまんないよ。」
「これ以上、話さないで~。」
脂の乗り具合は見た目以上で
西京焼にすると
この脂のクセがやわらぐだけでなく
甘い味噌の風味が
何とも言えません。
この鰤ではありませんが
今夜の会席料理の焼物に
お出しした西京焼が
こちらでした。
この鰤も脂が乗っていましたが
今日の方が段違いに上なのは
間違いありません。
天然の魚ゆえ
個体差もあり
見本が良くても
選んだ魚が
見本よりも劣る可能性もあります。
自分の経験と勘を頼りに
魚を選ぶのは
難しいことですが
より良いものを選び
美味しい料理に仕立てるためには
どんな些細な努力をも
怠ることは出来ません。
「明日も魚の仕込みがあるんだね。
そんじゃ、また」 by 熱血君
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