真空調理(低温調理)で仕込んだふぐ刺
Vol.3788
“身体に優しい、美味しい日本料理”を、
信条とする『佳肴 季凛』店主兼
熱血料理人の志村弘信です。
今朝の気温は、
低かったこともあり、
沼津魚市場に行くと、

半分近い人達が、

長袖を着ており、

「暑さ寒さも 彼岸まで」とは、
よく言ったものです。
そんな今朝仕入れたのが、

福島県産のとらふぐで、
その場で締め、

持ち帰ることにしました。
卸そうとすると、

熱血君がやって来て、

「親方、おはようございます。」
「おはよう。」
「今朝は、肌寒かったね。」
「Tシャツ1枚だったけど、
それほどでもなかったよ。」
「ふぐを仕入れて、
萌え燃え・・・
だったからじゃね?(笑)」
「そうかなぁ。」
卸し終えたら、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんが、

水洗いをしてくれたものを、

手直しをし、
拭き上げ、冷蔵庫へ。
ふぐ刺にする場合、
最低でも、

二日は寝かさなくてはなりません。
この写真のふぐ刺は、
お出ししたものです。
ところで、
この日にお出ししたのが、

ふぐ刺というか、
湯引きしたふぐです。
ただ湯引きしただけでなく、
タイトルにもあるように、
真空調理で仕込んだもので、
真空調理は、
低温調理とも呼ばれています。
熱血君がやって来て、

「この間から、
気になっていたんだよ。
早く話してよ~。」
「まぁ、慌てなさんな」
ふぐ刺に仕立てる場合、

身皮と呼ばれる薄い皮を

取り除かなくてはなりません。
魚に詳しい方や
釣りをする方の中には、

皮剥(カワハギ)や、

馬面剥(ウマヅラハギ)を
思い浮かべるかもしれませんが、

ピンポ~ン♬
トラフグ、カワハギ、
ウマヅラハギは、フグ目(もく)ですので、
簡単に言えば、親戚です。
ひれの位置だけでなく、
ひれを動かす筋肉の構造も
似ています。
違うのは、
肋骨(ろっこつ)の有無で、
フグ類は、肋骨が無いため、
お腹を膨らますことが出来るのです。
真空調理のふぐですが、
三枚に卸したら、

身皮をつけたまま、

盆ざるに乗せ、

バーナーで

身皮を炙ったら、

氷水で冷まします。
粗熱が取れ、

水分をふき取ったら、

アルコールを飛ばした日本酒と共に、

真空パックし、

スチームコンベクションオーブン(スチコン)で、
70度で加熱すること、10分。
氷水で一気に冷ましたら、

冷蔵庫へ。
70度で加熱するため、
低温調理とも呼ばれているのですが、
低温といっても、温度帯は、
40~80度と様々です。
そのため、解釈というか、
定義も、かなりアバウトな面もあります。
加熱することで、
ふぐ刺特有の歯応えは
失われますが、
旨味が引き立ち、
ふぐしゃぶのような感じです。
“ふぐに魅せられし料理人”の自分にとって、
ふぐちりこそ、ふぐ料理の真骨頂で、
ふぐ料理というカテゴリーに限らず、
これに勝る料理は、
なかなかありません。
長々とお話ししている間に、
真由美さんは、

カウンター内の掃除や、

ふぐのひれを貼り付けてくれ、

表も裏も、

満員御礼。
さらに、知らぬ間に、
南方では、台風の赤ちゃんが生まれ、

しかもダブル!
安心出来ませんが、
少しずつ秋の気配を
感じます。
秋のお彼岸から春のお彼岸までが、
ふぐ料理のシーズンとされており、
自分にとっても、
ますます、萌え燃え・・・
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