早出の休日出勤をして、ふぐの皮引き
Vol.3778
“身体に優しい、美味しい日本料理”を、
信条とする『佳肴 季凛』店主兼
熱血料理人の志村弘信です。
定休日でしたが、今朝は、

4時半過ぎから、仕事を始め、
早出の休日出勤でした。
すべき仕事は、
とらふぐの仕込みのうち、
ボスキャラとも言うべき
皮の棘(とげ)取りです。
卸した後の水洗いや、

皮の粘膜の掃除は、

女将兼愛妻(!?)の真由美さんのお陰で、
すんなり熟(こな)せるのですが、
棘取りは、包丁仕事ゆえ、
自分単独で、
ボスキャラと呼んでいるように、
かなり手強く、必ずクリアをするものの、
途中で心が折れることは、
何度も経験しており、
沢山の棘取りをする前には、
それなりの覚悟が欠かせません。
さらに、卸す直前は、
萌え燃え・・・ でも、
棘取りをしている最中は、
萎え萎え・・・ になることも・・・。
冷蔵庫から取り出した皮は、

木曜日の13本と、

水曜日の1本で、

全て、福島県産の天然もので、
ホームグランドの沼津魚市場で、
仕入れたものです。
皮には、腹側の白い部分(写真 左)と、

背の黒い部分(同 右)があります。
白い方は、棘が多いだけでなく、
棘を取るにつれて、
皮が広がっていくので、
背に比べ、倍くらいの時間と手間を要し、
包丁の角度がずれると、

穴が開いてしまうこともあり、
これは減点の対象です。(苦笑)
なお、棘取りについては、
こちらをご覧下さい。
また、白い方が広がっていくのは、
空気を吸って、膨らむお腹の部分だからです。
普段なら、茶々を入れて来るミニふぐ達も、

時間が時間だけに、ZZZ・・・
今日のように、数が多い時は、
白から始めていくことが殆どで、
手間が掛かることは、
先に済ませた方が気楽だからですが、
皆さんはいかがですか?
白が終わり、

黒にシフトしたら、

6割以上、クリア。
となれば、鼻歌交じりで、

ミッション・コンプリート!
その後、真空パックしたら、
冷凍庫へしまっておきました。
皮は湯引きしたのち、

包丁してから、
ふぐ刺のあしらいとして、
お出しするのですが、
湯引きの方法については、
こちらをお読み下さい。
棘取りを終えた皮は、
無毒とはいえ、
それこそ、煮ても焼いても、
食べられず、

ゴミ箱行きです。
ゴミ箱と言えば、棘取りは、
無人の境地の単独仕事ゆえ、
途中で捨てたくなることも多々あります。
しかしながら、それだけは、未体験で、
いかなる理由があっても、
食材を粗末にすることは出来ません。
お金を使って、
仕入れたものである以上に、
自分の料理のために、
命を提供してくれた食材を
無駄にすることは、罪です。
ですので、基本的に、
どんな食材でも、
自分は二次利用し、時には、
三次利用することも珍しくありません。
その考えの基本になっているのが、
自分の場合、
マクロビオティックで、

自分のマクロビオティックの考えについては、
こちらをお読みください。
そうこうすると、
鶏飯が

炊き上がり、

娘達のお弁当にも、入れました。
ちなみに、娘達のお弁当は、
真由美さんが作っています。
鶏飯のにおいに誘われたのか、
ミニふぐ達がやって来て、

「おはよう、親方。」
「おはよう。
やっと起きたね。」
「『やっと』って、
親方が早いんじゃね。それよりも、
娘ちゃん達のお弁当、
うまそ~♬
真空パックしてあるけど、

これは?」
「これは、山梨のおばあさん用だよ。」
「山梨のおばあさんって?」
「自分の母親の母。
だから、おばあさん。」
「1パックの量が、少ないよ。」
「一人だからね。」
「おばあさんが、一人暮らし!?」
「そうだよ。」
「ということは、何歳?」
「97歳。」
「四捨五入すれば、
100歳じゃん。凄っ!」
「そうだよ。足腰弱くなったけど、
まだ普通には、生活出来るよ。」
「びっくり!あと、

これは?」
「今日は休みだから、

おかずも一緒に持ちながら、
真由美さんと行って来るんだよ。
一緒にどう?」
「行きたいけど、
海にいた頃の鯛(たい)ちゃんや、
平目(ひらめ)ちゃん達と
遊ぶ約束しているから、今日はパス。
今度、連れてってね。」
「はいよ~。」
97歳の祖母は、5年ほど前までは、
叔父と一緒に暮らしていたこともあり、
今日のように、行くことは少なく、
何年に一回かで、
それこそ、オリンピック状態。
5年前に、叔父が急逝してから、
行く機会が増え、その度に、
おかず持参です。
母も週に一度は出向き、
その時に、おかずなどを持って
行ってもらうこともあります。
叔父が亡くなったことで、
母も行くようになり、
もしかすると、叔父が
遺してくれたものかもしれません。
ただ行くだけでなく、
おかずを持参し、
一緒に食事が出来るのも、
自分が料理人であるからで、
時には、祖母が食べたいものを
作ることが出来るのも、
料理あってのことで、
自らの生業に感謝、感謝。
祖母の年齢を思うと、
いつまで出来るか分かりませんが、
大台クリアという華を、
自分の料理で添えられるよう、
元気でいて欲しいものです。
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