桂剥きの思い出
料理が好きで、料理人になって、3分の1世紀にして、誰が名付けたのか、熱血料理人。
そんな料理への想いや日々の様子を、 熱血料理人の店主・志村弘信が3726回目の今日も認(したた)めます。
今朝も沼津魚市場に仕入れに行って来たのですが、

めぼしい魚も無く、仕入れたのは、冷凍物などだけでしたが、昨日の時点で、今日、明日使うべく魚を仕入れていたので、心配は御無用です。
とは言え、魚の仕込みが全く無かったわけではなく、

昨日仕入れた真鰯(鳥取県境港産)で仕込んだ【鰯の丸煮】が、

仕上り、

それが唯一の魚の仕込みでした。
魚市場の帰りに時々立寄るのが、

車で15分のところにある食遊市場で、今朝も立寄り、

野菜や食材を仕入れ、特に野菜は、

2軒の八百屋で、

鮮度や使い勝手を見ながら、仕入れています。
そんな今朝仕入れた野菜が、

これらです。
先程お話しした【鰯の丸煮】は、様子を見ながらの“鍋仕事”で、仕込みの中心は野菜の下拵えとも言うべき“包丁仕事”で、仕込んだのは、

当店のオリジナル料理のサラダ素麺の野菜と、

刺身用の妻(つま)で、冷水で晒(さら)してから、ざるに上げて使うのですが、とりあえず、このままれ冷蔵庫にしまっておき、晒すのは、明日にしておきました。
サラダ素麺の野菜に入っているのは、長ねぎ、茗荷(みょうが)、パプリカ(赤、黄)、人参、胡瓜、アーリーレッド、レッドキャベツで、妻に入っているのは、大根、人参、胡瓜、アーリーレッドです。
すると、ふぐネット29匹衆がやって来て、

「おはようございます、親方。刺身の妻って、こうなる前に、桂剥(かつらむ)きをするんでしょ?」
「剥いたら、トイレットペーパーみたいに、

ロール状にしてから、包丁するんだよ。」
「ふぅ~ん。桂剥きが出来るようになるには、どれくれいかかるの?」
「努力次第!(笑)」
「それじゃあ、分からないよ~。」
「桂剥きに限らず、包丁仕事って、最初は出来ないんだけど、やっていくうちに、ある程度まで上達して、そこで足踏み状態になることが多いんだよ。」
「へぇ~。」
「足踏み状態のところで、のらりくらりしている間に、何かのきっかけで上達して、もう一度、のらりくらりして、さらに上達っていき、それを繰り返していくと、完全にマスター出来るんだよ。」
「地道な努力だね。」
「だから、努力次第って、言ったじゃん。」
「そっか~。」
「自分の場合、料理の世界に転がったのが、東京の鮨屋が最初で、その店では、桂剥きをやる必要がなくて、日本料理に路線変更しようと思った時、自分で覚えるようにしたんだ。」
「どういうこと?」
「まぁまぁ、慌(あわ)てなさんな。休憩時間中に、自分で買った大根で練習したんだけど、それだけじゃ上手にならなかったんだ。そうこうしているうちに、料理屋に移ったんだけど、そこでの仕事中でも、大して上達はしないかったんだ。」
「それだと、困るじゃん。」
「休みの日に練習したり、早めに帰れた時は、大根と包丁を片手にアパートに戻ってから、練習したこともあるよ。」
「そうなの!」
「身体で覚える仕事だし、手先が器用なタイプでもないから、人より多くやらないと、だめなんだよ。」
「へぇ~。」
「包丁仕事に限らず、料理そのものが、生涯、勉強だから、厨房に立ち続けてこそ、勘が磨かれていくものなんだ。」
「なんだか凄いね。」
「自分なんて、まだまだだけど、立ち続ける姿勢だけは、持ち続けたいね。」
「頑張って、親方。また、色々と教えてね。」
「はいよ~。」
料理の道に転がり、3分の1世紀が経ち、年齢も半世紀を超えたのですが、生涯一料理人を貫くため、自らを奮い立てせながら、仕事に臨み続けます。
2022.7.22|鰯の丸煮 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
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