『西京漬』用の銀鱈も鯖も、ジェリーミート
料理が好きで、料理人になって3分の1世紀。料理に学び、料理を楽しむことへの境地には、未だ届かずも、そんな想いを、3436回目の今日もお話しさせて頂きます。
昨日箱詰した『西京漬』は、
銀鱈、サーモン、鯖が各2枚入っている“3種2入”と呼んでいるものです。
また、先々の御注文を頂いていることもあり、今日は、
銀鱈(カナダ産)と、
鯖(ノルウェー産)を仕込みました。
どちらも冷凍の輸入ものゆえ、仕込みというか下拵えには手抜きは出来ず、銀鱈は、
前日から解凍しておき、
鯖は、フィレーと呼ばれる卸し身になっているので、
扇風機の風を15分程度あてて、解凍しておきます。
銀鱈の最初の下処理は、鱗を取ることで、
鱗引(うろこひ)きと、
金たわしを使うのですが、この役目は、専ら女将兼愛妻(!?)の真由美さんで、最後に、
自分が包丁で手直しをしたら、腹を裂き、
水洗いをし、最初の下拵えが終わりました。
その後、
卸すのですが、
卸したら、尾の部分を試し焼きをしなくてはなりません。
試し焼きをするのは、銀鱈は、加熱すると、身が溶けてしまうジェリーミートと呼ばれる身質のものがあるからです。
3本全て、
試し焼きをしている間に、
鯖は包丁が入るようになったので、
腹骨を一部をすき取ります。
一部なのは、
苦玉とも呼ばれる胆のうの跡が残っていると、食べた時に、味が損なわれるからで、すき取ったら、
上(かみ)と下(しも)の部分に分けて、同じ身のものを重ねておきます。
鯖も銀鱈同様、ジェリーミートのものがあるので、こうすることによって、間違いを防ぐことが出来、
残念なことに、ジェリーミートのものが1枚出てしまい、
銀鱈も鯖もジェリーミートの原因は、寄生虫によるものです。
別の原因とも言われているのが、潮の関係で、温かい海域を泳いでしまうことで、どちらも、地球温暖化による海水温の上昇なのは、間違いないと言われています。
そうこうしていると、銀鱈の試し焼きが終わり、
3本共、問題ないような感じがしたのですが、右側のものが、
溶けることはなかったものの、触ると、豆腐のような柔らかさでしたので、
残りの中骨と別の片身の尾の部分を焼くことにしました。
焼くと、同じ様に溶けることはないものの、“黒”という確証を得、腹骨などあらを焼くと、
“黒”の判定。
試し焼きをして、ジェリーミートが分かると、仕事のモチベーションが一気に下がるだけでなく、仕事が徒労に終わったとしか思えないので、どっと疲れてしまいます。
その後、銀鱈を下、鯖を上にして、
脱水シートに挟んだら、冷蔵庫にしまうことにし、冷凍庫からは、
3本の銀鱈を出し、明日仕込むことになりました。
3時間ほど、冷蔵庫にしまった後、有機JAS認証済の西京味噌をベースにしたお手製の西京味噌と共に漬け込むことにし、ジェリーミートの銀鱈も切身にしてあったのですが、
お役御免となり、
泣く泣く処分することになったのですが、沼津魚市場との付き合いもそれなりにあるので、善処はしてくれるので、それは問題ありません。
ただ、先程お話ししたように、下がったモチベーションを戻すのは、なかなか厄介なものです。
ランチの営業が終わったら、
『西京漬』に仕込んだ銀鱈も、
鯖も、
明日卸すことになった3本の銀鱈も、冷蔵庫にしまい、夜の営業に備えたのでした。
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