岩がき
4月も半分過ぎましたが、この時季になると、市場に夏の食材も少しづつ入荷してきます。
夏が旬の魚といえば、鰹(かつお)、鱧(はも)、鯒(こち)、鮑(あわび)、などですが、ここ最近入荷量が増えてきたのが、”岩がき”です。
こちらの”岩がき”は、大分県・豊後水道産です。
自分が仕入れてくる”岩がき”は、何よりも先ず、大きいものであることです。
左側の”岩がき”が、自分の仕入れてくるものですが、ちょっと分かりづらいので、こちらをご覧下さい。
これで、何となくはお分かり頂けると思いますが・・・。
その次に、形を見ます。”岩がき”は天然のものなので、その形もまちまちですが、このように、丸みを帯びた感じのものを選びます。
あとは、持った時に重みを感じることも大切です。これらを基準に選んでくるのですが、選んでいる時のやりとりは、きまってこんな感じです。
「親方、そんなに選ばないでよ。」
「いいじゃん、良いものを仕入れに来てるんだから。」
「値段、高くなっちゃうけど・・・。」
「値段?ちょっとぐらい高くたって、かまわないよ。うちのお客さんは、俺が選んだ美味しいものを、食べに来てくれてんだし、高かったら、俺の小遣いがなくなるだけよ。」
「・・・。好きなの選びなよ。その代わり、貰うもんもらうからね。」
「はいよ。」
そんなことを、お話ししていたら、”岩がき”の注文が入りました。
先程の”岩がき”の殻を開けたところです。身が殻一杯に詰まっています。
一口では食べられないので、適当な大きさに包丁しなくてはなりません。
これは4つに包丁しましたが、もっと大きいものは5つに包丁します。さすがに、6つというのは、お目にかかったことはありません。
包丁した”岩がき”を、もう一度、氷の上に置いた殻に盛り、レモンをあしらい、ポン酢を添えてお出しします。
一口食べれば、濃厚な味と”岩がき”特有の風味が広がります。この味わいは、この大きさならではのものです。
ところで、”岩がき”は天然のものですが、産地も日本各地です。当然、産地によって、その味も変わります。
個人的に美味しいと思っているのが、東日本でしたら、茨城県・鹿島灘で、西日本でしたら、京都府・舞鶴です。
ただ、もう少しすると、同じ静岡県の熱海産の”岩がき”も入荷してきます。去年初めて、食べたのですが、上の二つに匹敵する味でした。その大きさは、かなりのもので、”わらじ”と呼ぶ人もいるほどです。
何はともあれ、これから旬を迎える、”岩がき”を是非ご堪能下さい。良いものというより、気にいったものが無ければ、仕入れて来ません。その時は、ご勘弁を。
志村
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