ヒント
この料理は、自分が作ったものではありません。別の日本料理店のものでもありません。では・・・?
この器に盛られている料理は、全てが既製品で、その殆どが冷凍食品です。これが、既製品のカタログです。
その目次を開くと、原材料に始まり、前菜ものと続きます。
さらに、揚物、煮物とデザートに至るまで、既製品が並びます。
中を開くと、既製品がぎっしりです。
カタログにのっているものの中には、「こんなものまで。」と言わずにはいられないものもあります。
野菜を剥き、下茹でして、冷凍したものです。この写真は人参と里芋ですが、野菜も大根、ほうれん草、ごぼうなど、殆どの野菜があります。大根といえば、大根おろしの冷凍までもあるのです。
これは、”酢の物”に使うもので、桂剥きにした大根で、錦糸(きんし)玉子などを巻いたものです。
ところで、このような食材は誰が、どこで使うのでしょうか?
”佳肴 季凛”で?
お天道様が西どころか、足元から昇っても、ありません。
では?
その殆どが、結婚式場や旅館です。どちらも、一度に大勢のお客様が食事をするところです。
でも、そんなカタログが、何故”佳肴 季凛”に?
カタログに載っている既製品を見て、自分の記憶の中にある料理を引き出すのが目的で、手元に置いてあるのです。一言で言えば、ヒントを見つけるために、持っているのです。特に、蒸物や、揚物を考える時です。
また、新しい、変わった食材を見つけるのも、その理由の一つです。
ですから、先程お話ししたように、間違っても自分は使いませんし、使おうとも思いません。なぜなら、そんなことで、お客様からお金を頂くことは、自分には出来ません。
とは言っても、既製品を使うこともあります。それは、梅干などの漬物の類です。というより、だけです。
自分で作った料理を、評価されるのが料理人だと、自分は思っています。料理人であり続けるために、というより、”真の料理人”になりたいがために、自分は作り続けるのです。
志村
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