シャインマスカットのアイスの作り方
先日、山梨県から、
こんなぶどうが、入荷しました。
このぶどうは、シャインマスカットという品種で、2006年に品種登録されたばかりの新しい品種です。香りと糖度が高く、種がなく、皮ごと食べられるという特徴があります。
シャインマスカットは、ハウスものが出盛り期に入った8月中旬ごろから、路地ものが出始め、産地にもよりますが、10月の初旬あたりまで、収穫され、今が旬のぶどうでもあります。
そんなシャインマスカットで、アイスを作ってみることにしました。まず房から、
一粒ずつ実をはずし、きれいに
水洗いをします。先ほどお話ししたように、そのまま食べられるとは言っても、皮特有の酸味と渋味があるだけでなく、皮に傷があっても、実には問題が無いものもあるので、
一つずつ丁寧に、皮を剥いていきます。これだけの数ですので、こんな時は、女将兼愛妻(!?)とホールのアルバイトの手助けが必要です。“千里の道も一歩から”という諺通り、地道な作業が始まりました。
三人がかりで、
ようやく剥き終えたら、
今度は、フードプロセッサーにかけますが、
果肉がある程度残るようにし、
最終的に、全部で、約4リットルの果汁が、取れました。とりあえず、果汁はこのままにしておき、鍋に
クリームチーズ(写真 右)とマスカルポーネチーズ(同 左)を、常温で柔らかくしてから、混ぜ合わせ、そこに、
卵黄を入れ、
豆乳で伸ばしていきます。牛乳でも構わないのですが、マクロビオティックを基本に据えている当店ですので、牛乳の代わりに、豆乳を使うことにしています。その次に、
上白糖と蜂蜜を合わせ、
水でふやかした板ゼラチンを入れ、火にかけます。ゼラチンが溶けたら、
裏漉しにかけます。この時、ボウルの周りには、氷水をあてて、冷めるようにしてあります。
裏漉しを通したら、
風味付けに、マスカットのリキュールを加えます。冷めたら、レモンの果汁を少し入れ、先程仕込んだシャインマスカットの果汁を、
少しずつ入れながら、混ぜ合わせていきます。果汁を、全て混ぜ合わせたら、
このような状態になります。ここに、卵黄と別にした卵白で作ったメレンゲとホイップした生クリームを、
混ぜ合わせます。これで、
アイスの種が、ようやく出来上がりました。ここまでくれば、仕上がったも同然です。あとは、これを、
アイスクリームマシンにかけます。ゼラチンを多めに入れてあるので、緩めのムースのような感じになっています。
撹拌しながら、固まっていき、ディッシャーで形を取ったものが、
こちらです。薄い緑色をしているのが、果肉で、
このような感じになっています。一度に、全部をアイスにしても、風味が落ちてしまうので、アイスにしなかった種は、
小分けにして、真空パックして、冷凍庫にしまっておきました。
これまでに、何度もお話ししているように、かつての日本料理店のデザートは、時季の果物を切って、盛り付けるだけのものでしたが、時が流れ、スイーツやパティシエという言葉が、一般的になった現在では、そのようなものは、通用しなくなってしまいました。
かといって、日本料理らしさを逸脱したものを、作ることは、どうかと思います。このことは、デザートに限ったことではなく、焼物や揚物などの他の料理についても言えることで、伝統を受け継ぎながら、時代に合い、お客様に喜ばれる料理をお出しする必要があります。
日々包丁を握り、鍋を手にしても、なかなか答えは出ません。それどころか、さらに複雑な方程式を、自ら作ってしまうというのは、まだまだ努力、精進が足りないことの証であるのは、今の時点での正解であることだけは、確かです。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
2014.9.11|デザート 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
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