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松居棒

 厨房の掃除は毎日するのですが、細かいところはどうしても、やらず仕舞となってしまいます。
 ガス台のコック周りもそんな箇所です。油汚れは、どうしてもたまってしまいます。
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 だからといって、やらないわけにもいかないので、手が空いている時を見計らって、やるようにしています。
 と、偉そうに言っている自分ですが、自分はどうしても仕込みをやるようになってしまうので、そういう仕事は、女性スタッフに頼むようになってしまいます。
 先日、女性スタッフの一人が、こんな道具を持って来てくれました。
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 「親方、これ知ってます?」
 「知らない。」
 「”松居棒”っていうんですけど、細かいところを掃除するための道具です。親方の料理と一緒で、私の手作りなんです。」
 ・・・”まつい”ってことは、野球選手の松井?松井は棒というより、バットだし・・・。
 ”松居棒”というのは、お掃除好きで有名な女優の松居一代さんが、考え出した掃除用の道具と、教えられました。
 ご覧になれば、どんなものお分かりになると思いますが、参考のために、こちらを
 さて、その掃除のやり方です。
 先ず最初に、コックの部分に、油汚れの洗剤をかけます。
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 そこを、ラップで覆います。時間にして、15分程度そのままにしておきます。
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 ここで、例の”松居棒”の出番です。”松井棒”を使って、ひたすら汚れを落としていきます。
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 そうこうしているうちに、汚れも落ちました。
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 ”佳肴 季凛”に限ったことではありませんが、飲食店は料理以上に、クレンリネスに注意を払わなければなりません。
 ホールは勿論、厨房に至るまでです。ですから、自分は毎日の営業が終われば、換気扇周りなどは、ちゃんときれいにしてから、仕事を終えます。
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 というのも、汚れているままにするのが、自分自身が嫌なのと、美味しい料理はきれいな厨房で作られるべきものだと、思っていますし、道具を粗末にするようでは職人とは呼べません。
 飲食店の仕事には、このような後片付けや掃除のほうが、多いのが実際のところで、そういう部分があってこそ、初めて料理が生まれるのです。
 ”佳肴 季凛”にいらしたら、自分の料理以上に、スタッフの目に見えない努力を、覚えておいて頂ければ、有難い限りです。
  志村
 

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