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会席料理で、一度にどれくらいの食材が食べられるのか?

10月5日(日)まで、期間限定でお出ししている会席料理『秋ごよみ』は、

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食事、デザート付の全9品(おひとり 3,000円)ですが、9品とはいっても、実際に使っている食材は、それ以上で、どれくらいの数なのかを、お話ししたいと思います。調味料などを含めると、キリがないので、主だったものだけを数えることにします。

 

また、その日の仕入れや、仕込みの状況に応じて、献立は変わることもあるので、こちらも、同じくご了承下さい。

 

コースで一番最初にお出しするのが、先付で、この日は、

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しょうさいふぐの白子を使った〈白子豆腐でした。しょうさいふぐの白子、マスカルポーネチーズ、豆乳を使って、ゼラチンで固めており、食材としては、3種類となります。

 

その次にお出ししたのが、

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当店のオリジナル料理の一つでもあるお凌ぎの〈サラダ素麺〉です。使っている野菜は、長葱、茗荷、アーリーレッド、紫キャベツ、ピーマン、赤と黄色のパプリカ、人参の8種類で、これらを、きし麺に盛り付けてあります。ということで、9種類の食材を使っていることになります。

 

〈サラダ素麺〉とは言いながらも、きし麺を使っていますが、〈サラダ素麺〉というのは、料理名ですので、時には、冷麦や茶そばを使うこともあります。また、胡麻だれでを掛けてありますが、この胡麻だれに使っている調味料は、かなりの数ですが、こちらは、ノーカウントですが、10種類以上のものを使っています。胡麻だれについては、こちらをお読み下さい。

 

一般的な日本料理店で、次にお出しするのが、御椀と呼ばれるお吸い物ですが、マクロビオティックの考えを採り入れている当店では、小鍋をお出ししており、

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当店のマストアイテムの一つでもあります。この日は、〈もずくと野菜の小鍋仕立て〉でした。使っているのは、玉葱、長葱、もやし、水菜、人参、えのき、もずく、豆腐、庄内麩、大豆、雑穀です。雑穀は、玄米、押麦、黒米、小豆、粟(あわ)、ひえ、黍(きび)の7種類ですので、17種の食材を、使っています。

 

小鍋が煮えてきた頃合を見て、お出しするのが、日本料理の華でもある刺身です。

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この日は、生の本鮪(大間)、しょうさいふぐ(由比)、新子(佐賀)の3種盛りでした。妻は、大根、人参、胡瓜、アーリーレッド、大葉、薬味が、紅蓼(べにたで)、本山葵ですが、薬味はあえて計算に入れないことにすると、刺身で8種類の食材を、使っています。ただ、人参は、既に使っているので、7種類ということになります。

 

この次が、焼物か揚物になるのですが、

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この日は、揚物で、〈海老のぶぶあられ揚げと烏賊の新挽(しんびき)揚げ〉でした。前盛のしし唐があるので、3種類というこになります。

 

揚物の次は、煮物や蒸物をお出ししますが、

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この日は、〈鰯つみれ錦糸蒸し〉でした。鰯と白身のすり身を合わせたところに、生クリームや卵などを加えて、形を取ったものに、錦糸玉子を付けて、蒸しあげてから、餡をあり、紅葉卸しと葱を、天に盛り付けてあります。

 

この〈鰯つみれ錦糸蒸し〉は、隠れた部分に多くの食材を使ってはいますが、鰯と白身の2種類のすり身と錦糸玉子を、メインのものとして、3種類の食材を、口にすることになります。

 

ここまで来ると、お腹もなかなかの状態になっており、御食事の前にお出したのが、

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酢物の〈ふぐ皮生酢〉でした。天然のとらふぐの皮の下には、若布と塩でしんなりさせた大根と人参があります。これらを盛り付けたら、無花果のドレッシングをかけ、天にスライスしたペティトマトをあしらっています。

 

ふぐ皮、大根、人参、若布、ペティトマトの5種類とするのか、無花果を加えて、6種類にするのか、難しいのですが、 調味料ではないので、無花果を入れることにしますが、大根、人参が重複するので、4種類ということになります。

 

御食事ですが、

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〈ひじき御飯の焼きおにぎり茶漬け〉です。ひじきご飯には、白米、もち米、押麦が入っており、ひじきを入れると4種類となります。また、お新香には、これまで使っていないキャベツがあるので、合計で5種類の食材となります。

 

デザートは、マスクメロンのアイスです。

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マスクメロンがメインで、分量としては、豆乳をその次に使っているのですが、豆乳は、先付の白子豆腐でも使っているので、1種類とさせて頂きます。

 

結果的に、先付で3種類、お凌ぎで9種類、小鍋で17種類、刺身で7種類、揚物で3種類、蒸物で3種類、酢物で4種類、御食事で5種類、デザートで2種類の食材となり、合計で52種類の食材を使っていることになります。

 

一般的には、量はともかく、一日30品目の食材を食べるのが、望ましいとか理想的だと言われていますが、その倍近くを、『秋ごよみ』では召し上がることが出来ます。当店に限らす、他の日本料理店の会席料理を召し上がっても、最低でも30種類前後の食材が、使われているはずです。

 

昨年、和食文化が、ユネスコの世界無形文化遺産登録されましたが、その理由の一つが、多様な食材を使っていることにあります。会席料理というと、小鉢のような料理が、少しずつ出され、淡々と進んでいき、フレンチやイタリアンのような肉料理、魚料理などのメインが、ありません。

 

また、脂肪分が少ない日本料理は、物足りなさがあるのは、否定出来ませんが、その淡白な味わいを、何度も経験することで、日本料理の美味しさが分かるようになるのです。自分の経験から言えば、鱧やふぐを、初めて食べた時には、その美味しさを感じることが出来ませんでしたが、何度も食べていくうちに、その美味しさを知るとともに、日本料理の奥深さに魅せられました。

 

食文化に限らず、世界中のものが、日本にやってくるのは、大いに結構なことですが、かつての日本人は、それを吟味した上で、日本文化と融合させて、独自のものを生み出してきました。中国からやってきた漢字から、平仮名と片仮名を作り出し、3種類の文字を扱うという世界に例のない文字文化を生み出しましたのも、その一つです。

 

それが出来たのは、日本人の持つ和の心だと、自分は思います。今更ですが、日本料理は、和食とも言われています。つまり、日本料理は、日本人の和の心そのもので、だからこそ、一度の食事に、30種類以上ものの食材を使い、一つのものに作り上げることが出来るのです。

 

先人達は、こんなことを全く意識せずに、料理を作ってきたかもしれません。自分自身も、然りでしたが、なまじ仕事を覚えてきた頃、日本料理の虜になり、そのままかと思いきや、“魑魅魍魎の棲む伏魔殿”から、戻れなくなってしまった以上、自らの想いを、実現出来るまで、しばしどころか、未来永劫そこに住まわせてもらうつもりです。

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