拾い買い
予定通りの仕入れが終わって、沼津魚市場を出ようとセリ場を歩いていると、こんな魚が目に入ってきました。
”鰆(さわら)”です。”鰆”については、以前お話ししたことがあります。 下の写真手前の魚が、”鰆”です。
セリが終わったにもかかわらず、買い手がついていません。市場では、買い手がつくと、こんな風に、番号と問屋の名前のついた札が付けられます。
右手前に写っているのが、”鰆”です。ご覧のように、”鰆”には札がついていません。
”鰆”が”ふぐ”と同じ位好きな自分は、見向きしないわけがありません。
早速、市場のセリ人(セリ担当の職員)に声を掛けました。
「ねぇ、あの鰆残ってんでしょ?いくら?」
「あぁ、そうだよ。でも高いよ。キロ、○○(円)。」
具体的な値段も記してもいいのですが、ここではあえてお話ししません。”佳肴 季凛”にいらしたら、お話しはできますが・・・。
「もう少し、安くしなよ。残したって、しょうがないじゃん。鮮度がいいうちに、売っちゃいなよ。安くしておけば、良いことあるからさ。」
「・・・。」
「じゃぁ、帰るよ。」
「待ちなよ。△△(円)にすっからよ。」
「はいよ。一本もらってくよ。」
交渉成立です。今日のやり取りのように、売れ残ったものを買うことや、安いものを探して買うことを、料理人の世界では、”拾い買い”と呼んでいます。
自分が欲しいとなれば、いくらでも出して仕入れます。特に、ここ最近のアオリイカはそんな感じで、その値段に自分でも嫌になります。
今朝のように、あえて仕入れなくてもいいものは、値段次第で仕入れたりします。そうすれば、お客さんにもリーズナブルな値段で提供できます。
魚に限らず、美味しいものを出来る限り、リーズナブルな値段で、召し上がってもらうのが、料理人のあるべき姿だと、自分は思っています。
だからこそ、早起きして市場へ行くのです。それこそが、熱血料理人こと、不肖・志村の生命線ですというより、それを楽しんでいるのが、本当のところです。
志村
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