真空調理で仕込む蛸(たこ)・前編
【佳肴 季凛】でお出ししている蛸(たこ)の刺身は、
このような感じのもので、会席料理の“凛”(おひとり 4,200円)では、
四種盛りの一品として盛り付けてあります。どちらの蛸も、自分が沼津の魚市場で仕入れてくるものです。
沼津の魚市場では、
こんな風に、生簀に入っています。その時、札に目方が書かれています。入荷してくる数や大きさは、その日によって、まちまちで、この日は、愛知産もので、沼津の魚市場では、一番多く入荷してくる産地でもあります。
その中から、自分が選ぶのは、最低でも2キロを超えるもので、この日は、上の写真の3,1キロのもの以外に、2キロを超えるものは、
この2,4キロのものだけでした。生簀の中の蛸に直接触れ、足の太さや締まり具合を確認しながら、気に入ったものを仕入れるのですが、その時の相場や、在庫状況なども考えなくてはならないので、気にいったものがあっても、仕入れることはしません。
ただ、この日は、入荷量も比較的多かったので、相場も安定していたので、
3,1キロのものを、仲買人にセリ落としてもらうことが出来ました。ちなみに、58という番号が書かれているのが、自分の仲買人です。
あとは、ブクブクをセットした発泡スチロールに、
海水を入れ、
活かしたまま、【佳肴 季凛】のある富士市まで、戻ります。活きているからといって、そのままにしたり、水槽に移すことなどせず、仕込みの準備にかかります。
ネットから出したら、
くちばしを取り除くため、
くちばしを取ったら、今度は、頭をひっくり返し、内臓を外します。この蛸は、メスでしたので、
卵が入っていました。前回のお話しでもふれたとらふぐの卵巣と違い、毒があるわけではないので、食べることが出来ますが、お話しが逸れてしまうので、ここでは素通りさせて頂きます
また、蛸のオスとメスの違いは、足についている吸盤の並び方で、区別がつきます。メスは、
吸盤が、整然と並び、大きさも揃っています。内臓を取ったら、
包丁で、頭と足の付け根にある眼を取り除くと、万事休す。先ほどまで、茶色をしていた表面の色は、
生気を失い、白っぽくなってしまいました。その次に、蛸をボウルに入れ、
大根卸しと炭酸を入れます。この時の大根卸しは、皮も葉っぱも一緒です。そうしたら、
ヌメリを取るために、ひたすら揉みます。蛸の状態によっては、15分くらいで取れることもあれば、30分以上かかることもあります。この仕事をしてくれるは、殆どの場合、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです。一般的には、塩でヌメリを取るのですが、塩でやると、時間はかからないのですが、味がついてしまうだけでなく、身も締まり、結果的に、仕上りに大きな差、つまり味の差が生じてしまいます。
ヌメリが取れたら、大根卸しをきれいに洗い流したら、足は、
1本ずつ切り離し、先端の部分を、
切り落とします。頭は、
4つに分けます。これで、仕込みの第一段階は、ようやく終わりました。
第一段階とお話ししましたが、蛸の仕込みは、この後、第二、第三段階と続きます。続きは、次回となります。
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