始まりも、終わりも、長崎県壱岐産の本鮪
今日から、2月です。そんな今日から、【佳肴 季凛】では、2月、3月の間、女性限定の会席料理『春仕度』(おひとり 3,000円)を、御用意しております。個室だけでなく、テーブル席にも、夕席の営業前に、女将兼愛妻(!?)の真由美さんが、
お品書きを置き、玄関のメニュースタンドにも、3月の末まで、
掲げてあります。
なお、『春仕度』は、土曜日以外の御用意となっており、ご予約なしでも、お召し上がり頂けます。
ところで、今日が2月1日ですので、昨日までは、1月でした。そんな1月に入荷した鮪を、備忘録として、記しておきます。ちなみに、全て生の天然の本鮪で、築地から仕入れたものです。
新年最初の営業日の7日(火)に入荷したのが、
長崎県壱岐産のもので、同じ週の11日(土)に入荷したのは、
青森県大間産で、その次も、
大間産で、16日(木)のことでした。その次に入荷した本鮪は、週が明けた21日(火)で、
津軽海峡を挟んで大間の真向いの北海道戸井産のものでした。その週の金曜日の24日(金)は、
再び大間でした。週が明けた今週の火曜日の28日は、
今年最初と同じ壱岐産。そして、昨日の31日(金)も、
同じく壱岐産でした。
結局、全部で7回入荷し、壱岐が3回、大間が3回、戸井が1回で、さらに言うと、津軽海峡産が4回ということになります。また、これらの中で一番良かったのが、16日の大間と28日の壱岐でした。あとは、どれもほぼ互角といった感じで、産地では、鮪の良し悪し、つまり値段というのは、決まらないもので、その時の身の状態によるのです。
壱岐産の本鮪が入荷しているように、これからの時季、本鮪の産地は、各地を転々とします。また、もうしばらくすると、宮崎県の油津や川南などから、生の黄肌(きはだ)鮪が、入荷して来ます。油津や川南は、今でこそ、それほど名前を聞きませんが、大正から戦前にかけて、豊漁で賑わい、鮪の産地としては、老舗というか、名門で、鮪に詳しい人には、避けて通ることが出来ませんし、ここ20年間こそ、トップブランドのような大間ですが、ようやく成人したかの程度なのです。
ところで、産地というのは、あくまでも目安で、本鮪とはじめとするマグロ類は、回遊魚ゆえ、時季によって産地も変わり、脂の乗り具合も変わってくるのです。産地というブランドにとらわれていると、先入観や偏見だけで、判断することになります。
さらに、そのものの真価が分からなくなるどころか、少し前に世間を賑わせた誤表示や偽装の温床になると自分は、思います。食べる側が、ちゃんとした目を持っていれば、小手先の宣伝文句が、いかに陳腐なものなのか分かるだけでなく、売る側の浅はかさに気付くのは、当然のことです。実際、自分もそのようなケースに、何度も出くわしたことがあります。
ここ最近、自分のテンションが、幾分高いように感じる方もいるかと思いますが、それは否定の余地もない事実です。というのも、日本人の食生活の乱れというより、その体たらくに、辟易とし、今後の日本料理を取り巻く状況に、危機感どころか、絶望感すら覚えるからです。
日本料理という文化の担い手である料理人になり、自分の声が、届かなくとも、自らの生業に誇りを持つ以上、気付かれようと、気付かれれまいと、どこまでも、声を出し続けます。外国人に、「何故、日本人なのに、日本料理を食べないの?」とだけは、言われたくはありませんし、売国奴に、成り下がるわけには、いきません。
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