あえて小さめの天然のとらふぐを仕入れる理由
今日は、ランチの営業が始まる前に、静岡の魚市場に通う富士市内の魚屋さんから、
3本のふぐが届けられました。もちろん、天然のとらふぐで、御前崎や吉田などの静岡県産です。そのまま水槽に入れ、ランチの営業が終わってから、
水槽から取り出し、卸しましたが、このうちの1本は、
他の2本に比べ、ひと際大きいもので、自分は“ジャンボ”と呼んでいます。この“ジャンボ”の目方を量るため、秤に乗せ、
秤の針は、
3、55キロを指していました。残りの2本は、
どちらも、殆ど同じ大きさで、
0,9キロのもので、この大きさのものを、自分はメインに仕入れています。改めて、今日の3本を並べてみると、
その大きさは、一目瞭然です。これだけの大きさですので、“ジャンボ”の肝、つまり肝臓は、
これほどまでの大きさで、極上のあん肝やフォアグラを思わせるほどですが、有毒部位なので、食べることは出来ません。ただ、この肝を見ると、多くの人が食べて、命を落としてしまったのは、分からなくもありません。参考のために、
秤に乗せてみたところ、
ちょうど300グラムでした。
これだけ大きいものとなると、大味で、繊細さを欠くように思われがちですが、刺身にしても、その旨味は深く、唐揚やちりのように加熱して食べると、その味の濃厚さには、魚の域を超えているとしか思えません。ただ、これはとらふぐに限ったことではありません。
本鮪と、めじ鮪の味の違い、鰤といなだのそれは、単なる幼魚以上に、全くもって別の魚だと思っても、過言ではありませんし、その違いは、結局値段の差になって現れているのです。
ですので、理想を言えば、大きめ天然のとらふぐを仕入れることが、望ましいのですが、1,5キロから2,5キロくらいまでのものは、高値が付くのは必至です。それは、味もさることながら、数が少ないからです。ただ、“ジャンボ”となると、食材というより、商材としては、扱い部分もあるので、意外と高値が付かないこともしばしばです。
そういう大きさの天然のとらふぐを仕入れれば、お客様にお出しする値段は、必然的に高いものにならざるを得ません。これら一連のことについては、昨日お話ししたことと重複するので、そちらをお読み下さい。
ふぐ料理が、あまりに高いものとなってしまうと、高嶺どころか、それこそ高値の花になり、ふぐを食べる機会が遠ざかります。さらに、料理文化そのものが廃れ、最終的には、日本料理店の存在意義すらなくなってしまい、自らの首を締めるような結果になると、自分は思うのです。
これが、東京のような大都会ならともかく、静岡県富士市のような地方都市では、限度があります。そんなこともあり、当店のふぐ料理は、おひとり1万円を超えるようにはしていないのです。そんな当店のふぐ料理については、こちらをお読み下さい。
このような理由で、自分は今日の2本のような1キロを下回る小さめの天然のとらふぐを仕入れているのですが、もう一つの理由があるのです。それは、
唐揚です。当店のふぐ料理は、ふぐちり以外は、全て一人前ずつお出ししています。刺身は、
同じようになりますが、唐揚の場合、形が違えば、召し上がるお客様は、どうしても不自然というか、腑に落ちない気分がするのは、当然のことですし、自分がお客様でしたら、そう思いますし、クレームや文句とまでいかなくても、ホーススタッフや女中さんに、一言訊いてみたくなります。
こういうことは、サービス業である以上、望ましいことではないので、同じ様な形や大きさになるように、
あえて1キロ下の天然のとらふぐを、仕入れているもう一つの理由です。ちなみに、使う部位、形などは、その時によって、異なりますが、この写真の部位は、
頭の一部と、
かまの一部です。
魚体こそ小さいとはいえ、その味わいは、やはり天然のとらふぐで“秀麗なる冬の美食”としか、形容出来ません。
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