傷ありの鱧
魚の仕入れ先でもある沼津魚市場に着くのは、
余程のことがない限り、5時過ぎで、今朝も然りでした。今朝のような天気ですと、
この先には、富士山を見ることが出来ます。
そんな風景を尻目に、向かった先は、
生簀のある活魚売場で、
自分の買い番である【47-9】が書かれた札が置かれた生簀には、昨日の時点で、
注文しておいた3本の鱧(中国産)が、入っていました。
鱧が、市場に入荷して来たのは、金曜日だったこともあり、
鱧同士が、噛み付きあったり、生簀の壁や底に触れることで、3本のうち、2本の鱧に、傷がありました。こういうものは、当然、お値打ち価格となります。
その後、ひと通りの仕入れを終え、活魚売場に戻り、
3本の鱧を、
持ち帰ることにしました。
『佳肴 季凛』に戻り、
傷のついていない1本を、
ザルに移し、
御予約の鱧料理の“落とし”に使うため、水槽に入れておきました。ちなみに、鱧の隣りにあるのは、
鹿児島産の鯵です。
残りの2本も、
取り出し、
すぐに締めてから、
卸すことにしたのですが、傷がついているだけでなく、1本は、お腹から、卵や内臓が出ており、弱っているのは、明らかで、こういう時は、出来るだけ早く締めないと、不都合なのです。
卸してみると、
1本は、
このような傷で、もう1本は、
このようなものでした。
ここまでの状態ですので、
身の部分にも、血が回っており、1本は、
このようになっており、もう1本は、
最初のものよりは、ましでしたが、血が回っていました。
これらの部分は、使えないので、
アラと一緒に、
出汁を取るために、しまっておきました。鱧の出汁については、こちらを、お読み下さい。
そして、夕方になり、夜の営業時間前に、
水槽に入れておいた鱧を取り出し、
卸してから、骨切りをしました。
一口サイズに、
包丁したら、
塩を一つまみ入れたお湯で、
花が咲いたように、白く開いたら、
氷水に落とし、冷めたら、
軽くしぼり、
鱧料理の刺身でお出しし、鱧以外は、生の本鮪(那智勝浦)、小肌(佐賀)、湯葉でした。
また、今朝の2本の鱧は、
天ぷら、
鱧しゃぶで、お出ししました。
そして、これら以外の身は、
串を打って、
照焼にし、
包丁してから、
味を調えた鱧の出汁をはり、天に生の本山葵を盛り付けて、鱧茶漬として、お出ししました。
鱧は、白身でくせも全くないので、どんな料理に仕立てることも出来、淡白でありながらも、深い味わいは、他の食材には、代え難いものにして、数少ない夏の御馳走でもあります。
そんな今夜は、一日というか、休み前ということで、一週間の労をねぎらい、
今朝仕入れた鱧と鯵、そして生の本鮪と湯葉で、一献を傾けました。やはり、この時季、鱧は、一番の食材かもしれません。
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