たった一日で、魚の水揚げと入荷が変わる理由
たった一日で、魚の水揚げと入荷が変わる理由
魚の水揚げ量は
自然条件にされるのですが
見た目こそ
天気の大きな変化が
無い時でも
たった一日でも
大きく変わることは
珍しいことではありません
その理由とは・・・
2025年1月14日
Vol.4560

いらっしゃいませ
マクロビオティック(玄米菜食)を
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”
を信条とし
魚菜食文化でもある
和食文化を
支えてくれる漁師の
代弁者として
【佳肴 季凛】の
店主兼熱血料理人の
志村弘信が
今日も認(したた)めます
今朝、沼津魚市場から
戻って来ると
ミニふぐちゃんが
やってきました

「おはよう、親方
ヒラスズキを
仕入れて来たんだぁ」
「おはよう
そうなんだけど
この平鱸(ひらすずき)は
昨日仕入れて
市場の生簀に
キープしておいたんだよ」
と、返しました
「ってことは
今朝、締めたんだね
今朝も行ったんだったら
他の魚でも良くね?
どうしても
ヒラスズキじゃなきゃ
ダメだったの?」
「平鱸である必要は
ぜ~んぜん無いよ
っていうか
今日の水揚げと入荷が
少なそうだったからだよ」
水揚げとは
沼津近隣
伊豆半島周辺の漁師が
持ってくる魚を指します
一方、入荷とは
全国各地から
送られて来る魚のことです
「そんなこと
分かるの?」
「毎月、15日前後は
満月で
そういう時は
満月の強い光や
潮の動きが大きくなって
魚の動きが
普段と変わるから
獲れにくくなるんだよ」
「へぇ~」
「だから、今朝の
市場の様子と
昨日の様子を比べれれば
一発でわかるよ」
「早く見せてよ」
「はいよ~」
今朝の入船状況

まだ、6年のままですねwww

写真がボケていて
すみません

曳縄船(ひきなわせん)は
一隻のみで

このような感じでした
曳縄船とは
主に、マグロ類を獲る
漁船のことです

全国各地から
送られてくる
陸送便の魚の売場も
半分以下の入荷状況でした

地物の魚が並ぶ売場も
半分程度
活魚売場は
ごく僅か

なので
キープは正解でした

売場の端に
自分の買い番【47ー9】が
置かれた生簀には

平鱸が
泳いでいました

モスというのは
沼津近隣での
平鱸のローカルネームですが
紀伊半島の一部でも
そのように
呼ばれてもいます
かなり離れているにも
関わらず
同じ呼び名は
不思議でなりません
生簀から取り出したら

暴れないように
目隠しをし

頭の付根と

尾びれの付根に

包丁を入れたら

脊髄に針金を通し
神経を抜いておきました
神経を抜くのは
死後硬直を
遅らせるためです

「こういう感じで
仕入れて来たんだよ」

「マジで少なかったね」
「満月の関係もあるけど
この時季は
風が吹くと
時化(しけ)るし
今日なんて
ダブルパンチみたいなもんだよ」
「それじゃ
しょうがいないよね
で、昨日は
どうだったの?」
「まぁ、今朝とは
大違いだよ」

金目鯛(きんめだい)や
目鯛(めだい)などを狙う
底物船(そこものせん)は
合計で約1,5トン

オレンジ色のコンテナには

キンメダイやら

メダイが大漁、大漁!
曳縄船のマグロ類を
並べるブルーシートも
今日よりも
広げられていました

トロール漁の売場も
ガッツリ

カラフルなザルが
並んでいるだけでなく
深場の甲殻類が多いので
他の売場よりも
賑やかです

地物の売場も
てんこ盛り
活魚売場は少なめでしたが

キープしておいた
平鱸は
西伊豆・仁科(にしな)産です

そして、陸送便も
三連休最終日とは言え
それなりに
入荷していました

「たった一日で
ここまで違うと
ビックリだよね」
「魚って
そういうもんなんだよ
獲り過ぎで
魚が少なくなった
って言われるけど
漁師は毎日
漁に出ている
っていうか
出れるわけじゃないし
少しでも
気象条件とか
潮が悪くなると
獲れないのが
実際の話なんだよ」
「じゃあ、
何でそんな風に
言われているの?」
「立場の弱い人を
いじめて
事の本質を
隠しているとしか
思えないんだよね」
「そうなの!?」
「魚って
獲れる時が
限られているから
その時に
獲るしかないんだよ
国家の根幹の政策は
食料政策と
エネルギー政策なんだから
そこを無為無策にしてきた
だけなんだよ
それがバレると
困るから
漁師のせいにしているだけに
決まっているじゃん!
だから
漁師の代弁者になって
声を出し続けるんだよ」
「それって
マジな話なの?」
「マジかどうかは
分かんないけど
魚市場みたいな
現場に行っていれば
そんな気がするだけだよ
気だよ、気・・・!?
まぁ、一番の原因って
言われているのは
川の護岸整備をして
生活排水が流れ込まなくなって
プランクトンが
育たない結果
それを食べる小魚
小魚を食べる魚が
栄養失調になって
さらに大きい魚が
育たなくなって
食物連鎖のピラミッドが
小さくなったんだよ
まぁ、水産業界の常識なんだけどね」
「ってことは
気じゃなくて
紛れも無い事実じゃん!」
「そうだね
それを言うと
建設業界やら利権団体
さらには、役人と
“先生”達が困るから
明らかにしないだけなんだよ」
「はぁ~
呆れたよ・・・」
「そんな連中のことを
とやかく言うことに
労を使うなら
魚菜食文化の
日本料理の魅力を
伝えることに
エネルギーを注ぐ方が
健全だからね
ともかく、自分は
漁師の応援団なんだよ
マザーテレサが言ったみたいに
戦争反対っていうよりも
平和希求の方が
プラス思考だと
思わない?」
「そうだね
やっていることは
同じだろうけど
プラス思考の方が
いいもんね
ポジティブな親方には
ピッタリじゃん」
「ネガティブに見られるよりは
いいけど
たまには、凹むんだよ
こう見えても・・・」
「あはは・・・
ポジティブじゃないと
料理も美味しそうには
思えないもんね」
「美味しい料理を作るには
気分が良くなきゃ
出来ないからね」
「」

鱗(うろこ)を落とし
頭を落としてから
はらわたを抜き
水洗いを終えたら

三枚に卸しました

「透き通るくらいに
きれいな身を
しているんだね」
「そうだよ
透き通るっていうか
すすきたる
要は、すすぎ洗いしたくらいに
綺麗な身をしていることから
スズキって
言われるようになったんだよ」
「へぇ~
簡単な理由なんだね」
「他の魚のことも
話してあげたいけど
長くなりそうだから
今日は話さないよ」
「あぁ~、残念」
満月と時化で
今週一杯は
魚が少なそうですが
どうこかこうにか
乗り切りたいものです

「今朝は
フライヤーの
掃除をしたんだね
ピカピカじゃん
そんじゃ、また明日」
by 熱血君
コエタス
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