約四半世紀ぶりに仕入れた春子(カスゴ)こと、真鯛(マダイ)の幼魚
3分の1世紀の間
料理人をやっていますが
それと同じくらいの間
仕入れなかった魚が
春子(カスゴ)です
そんな春子とは・・・
2024年7月4日
Vol.4438

いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい
美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ
西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の
店主兼熱血料理人の
志村弘信が
今日も認(したた)めます

「おはよう、親方
このタイ
ちっちゃくね?」
と、ミニふぐちゃん
「おはよう
君達ぐらい
ちっちゃいよ」
と、自分
「このタイって
どうするの?」
「酢で締めて
使うんだけど
春子(かすご)って
呼ぶんだよ」
「今は夏だよなのに
どうして
春の子なの?」
「春日神社に
語源があるって
言われているんだけど
小さい鯛を
末っ子=かすっ子
って呼んだことの方が
ピンと来ない?」
「その方が
分かりやすいよね」
「カスって言うと
マイナスのイメージだから
春日神社だと
プラスになるから
そういう説にしているかも
っていうのが
自分の解釈だけどね
春に生まれたから
春子っていう説もあるけど
一年を通して
このサイズで
出回るし
幼魚だから
産卵の時季でも
生殖腺が大きくなることが
ないんだよ
名前こそ
春がつくけど
カスゴには
旬とか時季が
ないんだよ」
「へぇ~
でもさぁ
春子を仕入れて来たのを
初めて見たけど・・・」
「そうだね
おおよそで
四半世紀ぶりになるかね」
「四半世紀=25年だから
【佳肴 季凛】の開店よりも
ずっと前じゃね?」
「そうだよ
自分が東京の鮨屋に
いた頃の話だから
まだ20代の頃だね」
「そんなに
仕入れていなかったんだ~」
「使うタイミングが
無かったからだよ
ただ、今朝
市場に行ったら
良さそうなのが
入荷していたから
仕入れることに
したんだよ」
「へぇ~
どんな様子だったの?」
「いつもみたいに
市場時間に
時計の針を
戻すよ」
「わぁ~い」

ということで
今朝の沼津魚市場です

売場には
静岡県由比(ゆい)産の
カスゴが
並んでいました
ご存じの方も
いらっしゃるかも
しれませんが
由比は
桜海老(サクラエビ)で
知られています

一つの山が
4,5キロでしたので

如何せん
自分には
多過ぎです
なので
自分好みのサイズの
春子を選び

荷主である
由比の魚屋の
ご主人に
秤にかけてもらうと

1,5キロでした

「こんな感じで
仕入れて来たんだよ」

「そうなんだぁ~
タイって言うと
それなりのサイズって
イメージがあるけど
カスゴも
タイと変わんない味なの?」
「全くの別ものだよ
春子は酢で締めるから
いわゆる光物(ひかりもの)で
小肌(こはだ)とか
〆鯵(しめあじ)みたいな
感じだね
でも、魚そのものが
違うから
春子には春子の
美味しさがあるよ」
「さっき
『四半世紀ぶりの仕入れ』
って言ってたけど
それなら、仕込みも
四半世紀ぶりってこと?」
「そうだね
基本的な仕込みのやり方は
同じなんだけど
小肌や鯵よりも
手間が掛かるんだよ
自分の頃も
嫌がる鮨職人も多くて
人気が無かったんだよ」
「え~っ
だって美味しいんでしょ?」
「美味しいよ
っていうか
不味い魚って
そうそう無いしね
料理の道の振り出しが
鮨屋だったから
小魚とか
手間が掛かる仕込みが
飽きっぽいくせに
意外と好きなんだよ
たまたま好きな分量で
仕入れたから
久々の仕込みに
ワクワクしているよ」
「おぉ~!
で、この後は
仕込み方を
話してくれるんでしょ?」
「いやいや
今日は
お中元の【西京漬】に
銀鱈を仕込んだり

他の魚も色々と
仕入れて来たから
仕込みのことは
明日ね」

「そうだよね
軽トラに
一杯あったもんね」
ちなみに
今朝の主な仕入れです
◆銀鱈(ぎんだら)
アラスカ産


◆鱧(はも)
和歌山産

◆眼仁奈(めじな)
沼津産

「魚の仕込みも
沢山あったけど
お中元の【西京漬】の
箱詰もしたんだよね
お疲れ様~♬

ってことで
カスゴは
明日話してね」
「はいよ~!」
コエタス
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