デザートに使うリキュール色々
先日、パイナップルのアイスについてお話ししましたが、『佳肴 季凛』でお出ししているデザートは、どれもお手製のものです。そんな様々なデザートについては、こちらをご覧下さい。
デザートを作るのに、欠かせないのが、リキュールで、棚には、
所狭しと、色んなリキュールが置いてあります。
使う果物や素材に応じて、使い分けるだけでなく、使う時も、50~100cc程度ですので、自然と、種類が増えてしまいます。取り出してみると、
全部で、これだけありました。先ず最初が、
『アップルバレル』という林檎のリキュールで、林檎のアイスを作る時に、使います。
蜜柑などの柑橘類のアイスなどを作る時に使うのが、
オレンジのリキュールの『コアントロー』です。実は、この『コアントロー』の意外な使い道が、西瓜のアイスです。『コアントロー』を使うことによって、西瓜特有の青臭さが消され、香りもまろやかになり、後味もすっりするのです。
西瓜は、読んで字の如く、ウリ科のものですが、同じウリ科のマスクメロンのアイスを作る時に使うのが、
メロンのリキュールの『ミドリ』で、ミドリとありますが、原産国は、何故かメキシコです。
メキシコと同じ中南米が原産のお酒と言えば、ラムがあります。そのラムをベースにしたのが、
『マリブパイナップル』というパイナップルのリキュールで、シャインマスカットのアイスに使うのが、
『ミスティア』というフランス産のマスカットのリキュールです。
この時季、当店でお出ししている桃のアイスの下拵えと仕上げの時に使うのが、
桃のリキュールです。この“ルジェ”というシリーズには、
苺や、
ブルーベリーのものがあります。また、このシリーズには、沢山の種類があり、自分が使ったものがないものも、勿論あります。
これまでにお話ししたものは、どれもフルーツのリキュールでしたが、当然、それ以外のものもあり、チョコレートやココアを使ったデザートを作る時には、
『モーツァルト』というチョコレートのリキュールや、
コーヒーのリキュールの『カルーア』を使います。
コーヒー、ナッツ、種子系のリキュールの中では、アマレットが有名で、その中でも、『ディザローノ アマレット』を使います。
アマレットは、アーモンドのような香りがするので、アーモンドが原料のように思われがちですが、実際には、杏仁(杏仁豆腐にも使われる杏子の核)を使用しているものが主流です。
この『ディザローノ アマレット』を使うのは、ココナッツミルクや黒胡麻などの種子系のデザートを使う時です。
ここまでお話ししたのは、どれも原産国が外国のものでしたが、唯一の国産が、
『ヘルメス』という緑茶のリキュールで、抹茶のアイスやムースなどに使い、当店のような日本料理店には欠かせないリキュールの一つでもあります。
香料が入っているリキュールを使うことで、それらしく仕立てることは出来ますが、フルーツをはじめとするメインの食材を、ふんだんに使うことが、美味しいデザートを作る上では、一番大事で、どこまでいっても、料理というものは、素材ありきなのです。
★★★ 夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』 ★★★
この時季、当店では、夏季限定ランチコース『涼し夏(すずしげ)』(1,500円 全7品)を、御用意しております。
当店オリジナル料理の“サラダ素麺”をメインにした、清涼感溢れるコースとなっており、食後のお飲物付です。
パイナップルのアイス
これまで、色んなアイスを作り、お出ししていますが、
今日は、パイナップルのアイスを、初めて作りました。
昨日のうちに、ある程度まで、下拵えをしておきました。皮を剥いたら、
このように包丁をしました。これとは別に、パイナップルの缶詰を用意し、
シロップと果肉の部分に分け、シロップを、
包丁したパイナップルの入ったバットに入れました。シロップだけでなく、
パイナップルのリキュールも、
注ぎ、
蒸し煮にしました。
パイナップルは、ブロメラインというタンパク質を分解する酵素が含まれており、加熱することによって、その酵素を壊し、アイスの素を作るときに使うゼラチンの凝固力を、弱めないために、このようにするのです。
ゼラチンは、動物性のタンパク質を原料にしているので、パイナップルのようなタンパク質分解酵素の含まれる果物は、加熱してからでないと、ゼラチンは、固まりにくいのです。ただ、加熱しないままでも、生のものを、固めることの出来る凝固剤もあります。
この酵素の働きで、パイナップルを、酢豚などに入れることで、肉が柔らかくなり、タンパク質が分解され、胃腸の負担を軽め、消化吸収を高めることが出来ます。また、パイナップルを食べ過ぎると、舌がビリビリするのも、ブロメラインによる刺激が原因なのです。
このような酵素を含む果物は、パイナップル以外にも、、キウイ、マンゴー、パパイヤ、メロン、無花果(いちじく)などがあり、特に強い酵素を持つのが、パイナップル、キウイフルーツ、無花果などです。
蒸し煮にしたパイナップルは、
リキュールとシロップに分けてから、
フードプロセッセーにかけ、
再び、シロップとリキュールと合わせました。これで、
パイナップルの下拵えが終わりました。
ここまでを、昨日までやっておき、明くる日の今日は、アイスに仕上げるように、仕込みをしました。先ず、
鍋に、クリームチーズ(写真・左)とマスカルポーネチーズ(同・右)を入れ、よく混ぜ合わせたら、
卵黄を入れ、さらに混ぜ合わせます。そこに、
上白糖、
豆乳を入れ、伸ばしていきます。牛乳でも構わないのですが、マクロビオティックを基本に据えていることもあり、出来る限り、このようにしています。
豆乳を入れ終えたら、
水でふやかした板ゼラチンを入れ、
火にかけ、ゼラチンが溶けたら、
濾してから、
下拵えの時に使ったパイナップルのリキュールと、
パイナップル味のカルピスを加えました。どちらも、風味づけのためですが、カルピスを加えたのは、甘味を、さらに加えるためです。
氷水の入ったボウルで、冷ましながら、よく混ぜ合わせます。
冷めたら、ホイップした卵白(写真・左)と、生クリーム(同・右)を、
加え、さらに混ぜ合わせます。この時、味を確認したところ、甘味が足りなかったので、
再びカルピスを加え、
アイスの素が、95%出来上がりました。
最後に、昨日シロップだけ使った缶詰の果肉を、賽の目に包丁し、
アイスの素に入れ、仕上がりました。今度は、これを、アイスクリームマシンにかけ、
固まったら、
バットに移し、ようやくパイナップルのアイスが、仕上がりました。
お出しする時は、ディッシャーで、形をとってから、
このように、盛りつけます。
これまでに、何度もお話ししていることですが、日本料理店のデザートといえば、かつては、時季の果物を切って、盛り付けるだけのものでした。時が流れ、スイーツやパティシエという言葉を、よく耳にする現在では、そのようなものは、通用しなくなってしまいました。
かといって、日本料理らしさを逸脱したものを、作ることには、常々疑問を持っています。このことは、デザートに限ったことではなく、伝統を受け継ぎながら、時代に合い、お客様に喜ばれる料理をお出しする必要があります。
日々、厨房で、仕事をしていても、なかなか答は出ません。それどころか、答の出ない問題を、自ら作ってしまうというのは、まだまだ努力不足であることだけは、現時点での正解であることは、間違いありません。
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アイス用の桃とマスクメロン
ここ最近お出ししているアイスが、
“ココナッツミルクのアイス”です。
【佳肴 季凛】では、アイスだけでなく、ムースなど2種類のデザートを、常時御用意しており、出来る限り、時季のフルーツなどを使うように、心掛けていますが、フルーツは、天候などに左右されることもあり、使えない時は、瓶詰や、缶詰などを使って、手作りしています。
また、フルーツの中には、高級品も多いのですが、“頂き物”や、欠損品、B級品などの“商品にならない物”を、運良く仕入れることも、偶然出来たりもします。
そんな先日、仕入れることが出来たのが、
山梨県産の桃と、
静岡県産のマスクメロンで、ご覧のように、箱付の“頂き物”でした。
桃は、
大きさ、形とも不揃いであるだけでなく、
傷もある“商品にならないもの”でしたが、普通に食べるには、全く問題ないので、アイスに仕込むことにしました。
そんな桃のアイスの作り方は、こちらで、前編と後編の二つに分かれています。ただ、昨年は、リンクにあるように作りましたが、今回は、仕込み方を、少し変えることにしました。
皮を剥き、適当な大きさに包丁をしたら、バットに、
桃のリキュールと一緒に、桃を入れ、
蒸し煮にし、その後、
フードプロセッサーにかけ、
桃のピューレが、出来上がりました。アルコールこそ、幾らか入っていますが、100%の桃果汁ですので、その香りと味わいは、何とも言えませんし、これに、氷を入れても、十分すぎるくらいの美味しさであるのは、言うまでもありません。
さらに、桃のリキュールを加え、炭酸で割れば、素材100%のカクテルが出来上がります。
かなりのピューレが出来たので、
もうしばらく経ってから、アイスに仕込むことにし、真空パックして、冷凍保存しておくことにしました。
一方のマスクメロンは、
硬かったので、追熟させるため、そのままにしておきました。この時の状態からして、明日の火曜日あたりには、仕込みが出来そうで、桃のアイスよりも、マスクメロンのアイスのほうが、先にお出し出来そうです。
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只今、夏期限定コースとして、鱧料理をご堪能いただけるコースをご用意して、皆様のお越しをお待ち申し上げております。
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この時期美味しい鱧の味を、是非ご賞味下さいませ。詳細は、【鱧料理】のページをご覧下さい。
アイスの下拵えをしたのは、桃、シャインマスカット、マスクメロン
ここ最近、【佳肴 季凛】でお出ししているデザートは、
マスカットのアイスですが、先週末は、
桃のアイスに仕込むために、蒸し煮にしてから、
ピューレを作りました。そんな桃のアイスの作り方は、こちらをお読み頂きたいのですが、あまりにも長いので、前編と後編の2部になっております。
定休日明けの火曜日は、
日曜日に仕入れたシャインマスカットの皮を、剥きました。ひと通りの準備を終えると、
女将兼愛妻(!?)の真由美さんが、先ず一人で、剥き始めました。しばらくすると、
ランチの営業の準備を終えたアルバイトも、手伝い始めました。それでも、ちょっとやそっとでは、終わらず、ランチの営業時間となりました。だからと言って、途中でやめるわけにはいきませんので、
お客様の料理の進行状況の様子を見ながら、2人で剥いていきました。それでも、ラストオーダーの頃には、終わらすことが出来ました。
前回仕込んだ時よりも、
量が多かったので、
専用の袋を用意して、
真空して、冷凍することにしました。
また、この日は、マスクメロンのアイスに仕込むために、追熟させておいたマスクメロンも、ちょうど良い感じになったので、
フードプロセッサーにかけておき、
昨日、アイスにしました。
ということで、マスカットのアイスの次は、マスクメロンですが、その次は、桃が来るのか、マスカットが来るのか、それとも・・・・・。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
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2014.9.20|デザート 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
シャインマスカットのアイスの作り方
先日、山梨県から、
こんなぶどうが、入荷しました。
このぶどうは、シャインマスカットという品種で、2006年に品種登録されたばかりの新しい品種です。香りと糖度が高く、種がなく、皮ごと食べられるという特徴があります。
シャインマスカットは、ハウスものが出盛り期に入った8月中旬ごろから、路地ものが出始め、産地にもよりますが、10月の初旬あたりまで、収穫され、今が旬のぶどうでもあります。
そんなシャインマスカットで、アイスを作ってみることにしました。まず房から、
一粒ずつ実をはずし、きれいに
水洗いをします。先ほどお話ししたように、そのまま食べられるとは言っても、皮特有の酸味と渋味があるだけでなく、皮に傷があっても、実には問題が無いものもあるので、
一つずつ丁寧に、皮を剥いていきます。これだけの数ですので、こんな時は、女将兼愛妻(!?)とホールのアルバイトの手助けが必要です。“千里の道も一歩から”という諺通り、地道な作業が始まりました。
三人がかりで、
ようやく剥き終えたら、
今度は、フードプロセッサーにかけますが、
果肉がある程度残るようにし、
最終的に、全部で、約4リットルの果汁が、取れました。とりあえず、果汁はこのままにしておき、鍋に
クリームチーズ(写真 右)とマスカルポーネチーズ(同 左)を、常温で柔らかくしてから、混ぜ合わせ、そこに、
卵黄を入れ、
豆乳で伸ばしていきます。牛乳でも構わないのですが、マクロビオティックを基本に据えている当店ですので、牛乳の代わりに、豆乳を使うことにしています。その次に、
上白糖と蜂蜜を合わせ、
水でふやかした板ゼラチンを入れ、火にかけます。ゼラチンが溶けたら、
裏漉しにかけます。この時、ボウルの周りには、氷水をあてて、冷めるようにしてあります。
裏漉しを通したら、
風味付けに、マスカットのリキュールを加えます。冷めたら、レモンの果汁を少し入れ、先程仕込んだシャインマスカットの果汁を、
少しずつ入れながら、混ぜ合わせていきます。果汁を、全て混ぜ合わせたら、
このような状態になります。ここに、卵黄と別にした卵白で作ったメレンゲとホイップした生クリームを、
混ぜ合わせます。これで、
アイスの種が、ようやく出来上がりました。ここまでくれば、仕上がったも同然です。あとは、これを、
アイスクリームマシンにかけます。ゼラチンを多めに入れてあるので、緩めのムースのような感じになっています。
撹拌しながら、固まっていき、ディッシャーで形を取ったものが、
こちらです。薄い緑色をしているのが、果肉で、
このような感じになっています。一度に、全部をアイスにしても、風味が落ちてしまうので、アイスにしなかった種は、
小分けにして、真空パックして、冷凍庫にしまっておきました。
これまでに、何度もお話ししているように、かつての日本料理店のデザートは、時季の果物を切って、盛り付けるだけのものでしたが、時が流れ、スイーツやパティシエという言葉が、一般的になった現在では、そのようなものは、通用しなくなってしまいました。
かといって、日本料理らしさを逸脱したものを、作ることは、どうかと思います。このことは、デザートに限ったことではなく、焼物や揚物などの他の料理についても言えることで、伝統を受け継ぎながら、時代に合い、お客様に喜ばれる料理をお出しする必要があります。
日々包丁を握り、鍋を手にしても、なかなか答えは出ません。それどころか、さらに複雑な方程式を、自ら作ってしまうというのは、まだまだ努力、精進が足りないことの証であるのは、今の時点での正解であることだけは、確かです。
★★★期間限定 会席料理【秋ごよみ】 ★★★
(全9品 お一人:3,000円)
お陰様で、9月18日をもちまして、当店は六周年を迎えます。そんな感謝の想いを込めた夜の会席コースを御用意致しました。
なお、お召し上がり頂ける期間は、10月5日(日)までとなっております。本物の素材が奏でる逸品の数々を、是非ご堪能下さい。
2014.9.11|デザート 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
頂き物のマスクメロンのさらなるその後
今日、アイスにしました。ご覧のように、かなりの量ですので、
アイスに仕込まないものは、
真空して冷凍しておきました。冷凍してあれば、大丈夫かと思われるかもしれませんが、味が落ちるのは、時間の問題なので、このようにするのは、当然のことですし、少しずつ仕込むことで、常に美味しいものを、お出しすることが出来ます。
こんなことと、同時進行で、
アイスクリームマシンは、黙々仕事をしてくれていました。一方の自分は、
先日からお出ししている桃のアイスをトッピングして、“大人のクリームソーダ”を飲み、後片付けをしました。言うまでもなく、自分独りというわけにはいきませんので、女将兼愛妻(!?)の真由美さんとアルバイトには、サイダーを入れてものを飲んでもらいながら、頑張ってもらいました。
暑い夏が始まったのか、ピークなのかは、全く分かりませんが、兎にも角にも、夏のデザートは、アイスに限るのは、間違いありません。
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頂き物のマスクメロンのその後
先日、頂き物のマスクメロン(愛知県産)のお話しをしましたが、丸4日経ち、
つるの部分も、枯れてきて、全体的に、柔らかくなっていたので、包丁してみると、
どれもこれも、ドンピシャの食べ頃でした。アイスにするので、
種の部分を取り除きましたが、種の周りの部分は、一番甘いので、そのままザルに移しておきました。
果肉の部分は、皮を外してから、適当な大きさに包丁してから、
フードプロセッサーにかけました。一方、種の部分の果汁も、
無駄なく搾り取り、
果肉の果汁と合わせると、
マスクメロン100%の果汁が取れ、量ってみると、5,5リットル程ありました。今日は、時間がなかったので、明日か明後日、アイスの種に仕込みます。そんなマスクメロンのアイスの作り方については、こちらをお読み下さい。
これだけあると、かなりの分量が出来そうで、今から楽しみです。
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詳細は、【鱧料理】のページをご覧下さい。
頂き物のマスクメロン
今日、常連のお客様から、御中元のおすそ分けで、
マスクメロンを頂き、
愛知県田原市の【シーサイドファーム 伊良湖】産のものです。
鮮度も良く、
つるも青々としており、食べ頃には、まだまだでしたので、
蓋をして、追熟させるため、そのまま盛り台の下に置いておきました。
言うまでもなく、このマスクメロンは、デザートでお出しするのですが、いくら素材が良くても、冷して、切って、盛り付けるわけにはいきませんので、ひと手間を加えて、アイスに仕込む予定です。マスクメロンのアイスの作り方については、こちらをお読み下さい。
かつて、日本料理店のデザートと言えば、高価で、珍しい果物を切って、盛り付けるものや和菓子でしたが、時が経ち、フレンチやイタリアンが、料理の一ジャンルとして評価され、パティシエやパティシィエールという職業が、認知されるような時代にあっては、旧来のデザートでは、お客様にお出しすることは出来ません。
ただ、そんな時流にありながらも、素材そのものを活かす日本料理の精神を忘れずに、新しいことに取組みつつ、伝統を受け継いで、その心意気を、自らの料理に映せるよう、素材に向き合うものの、道の長さと奥深さは、魑魅魍魎以外の何物でもありません。
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桃(もも)のアイス 後編
前回に引き続き、桃のアイスの作り方のお話しです。
アイスの素を作るのに、桃の煮汁を、
鍋に移し、
上白糖と、
蜂蜜を加えたら、
水でふやかした板ゼラチンを入れ、火にかけ、ゼラチンが溶けたら、裏漉し、
ピューレ状の桃を、
合わせ、ボウルごと氷水をあてながら、冷まし、
風味づけの桃のリキュールと、
レモンの果汁を入れました。
前回お話ししたように、初めて作るということもあり、甘味の分量、味のバランスは、大体の目安で、結果的に、もう一息の味でしたので、
桃のジュースの大御所的存在でもある『不二家 ネクター』と上白糖を合わせ、
アイスの素に加えると、ようやく味全体がまとまりました。これを、
アイスクリームマシンにかけると、
このような状態になり、ようやく完成しました。作りおきして、冷凍しておいても、風味は落ちていってしまうので、今回仕込まなかったアイスの素は、
真空して、冷凍庫にしまいました。こうすることで、新鮮な桃の美味しさを、いつでも味わうことが出来ます。
今更ですが、『佳肴 季凛』でお出ししている料理は、基本的に、先付からデザートに至るまで、全て自分が手作りしたものですが、時には、既製品を使うこともあり、数少ない例外については、こちらをお読み下さい。
ただ、作り方、レシピをこんな風に、公開していいものかと思われるかもしれませんが、自分は、一切の躊躇(ためら)いもなく、お話ししているのには、大きな理由があります。
自分に限らず、どんな料理でも、それを作るための技術は、師事した親方、先輩、同僚、時には、後輩にも教えてもらったことの上に、成り立つもので、100%のオリジナルはあり得ません。だとしたら、自分が覚えた技術を、人に教えてあげることは、義務と言っても、過言ではないはずです。
どんな形であれ、自分の料理をモチーフにした料理が生まれたのならば、自分の料理が評価されたことの証明で、さらに、その料理を食べたお客様が、美味しいと言ってくれたとしたら、二重の評価を受けたことになり、料理人冥利に尽きること、この上ありません。
そんな想いを抱きながら、明日からも、料理の道を、歩き続けます。
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桃(もも)のアイス 前編
これまで、色んなアイスを作ってきましたが、今日初めて作ったのが、
桃のアイスです。これまで、作る機会が何度もあったのですが、なかなかタイミングが合わず、ここまで来てしました。
使った桃ですが、
このようなもので、味はちゃんとしているのですが、
商品にはならないB級品で、
桃の生産量が、全国1位の山梨県産のもので、2位が福島県で、3位が長野県です。なお、桃の生産量は、この3つの県で、約7割となっています。
その作り方ですが、皮を剥いてから、
適当な大きさに包丁しておきます。この桃を仕込むのに、
鍋に、白ワインを入れ、
沸騰させ、アルコール分を飛ばします。ちなみに、このワインは、
フランス産の『フォルタン シャルドネ』です。
沸騰したワインを、桃の入っているバットに入れたら、
10分程度、蒸し煮すると、
このようになり、ボウルに移して、
煮汁ごと冷まします。冷めたら、
煮汁と果肉に分けておきます。果肉を、
フードプロセッサーにかけると、
桃のペーストが、出来上がり、
桃の煮汁(写真 左)とペースト(同 右)は、このようになり、下拵えはとりあえず終わりました。この後、アイスの素を仕込むのですが、それについては、次回とさせて頂きます。
★★★ 佳肴季凛謹製 贈答用 西京漬 ★★★
当店では、お中元、お歳暮などの贈り物に最適な『贈答用西京漬』をご用意いたしております。
銀鱈、サーモン各3切入 税別 3,480円 ※クール便にて発送可
店主自ら、魚市場で吟味した“銀鱈”、“サーモン”を使用し、お手製の有機西京味噌で仕込んだ逸品です。大切な方への贈り物に、是非どうぞ。