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もっとおいしいお話し

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頭のない魚

魚市場には、色んな魚が並んでいます。活きている魚もあれば、冷凍の魚など、その種類というか状態もさまざまです。
冷凍の魚でも、先日お話した鯖のように、三枚におろしたものもあれば、このように、頭だけ取ってある魚もあります。
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写真の腕は、てんでダメの自分ですが、写真が上下反対ではありません。そのまんま写して、アップしただけです。もう少し、近くで見てみます。
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確かに、頭はついていません。冷凍のまま入荷してくるわけですから、国内で水揚げされた魚ではありません。
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”USA”と書かれています。アメリカ産です。その魚の名前は、”銀鱈(ぎんだら)”です。
”銀鱈”は、”たら”と名前がついていますが、”たら”の仲間ではありません。開きの定番の”ほっけ”に近い仲間です。棲んでいるところは、北海道以北から、アメリカまでの北太平洋です。
アメリカ産と書かれていますが、もっというと”アラスカ産”です。”銀鱈”は頭を取った状態で、2,5キロぐらいある大きな魚です。
スーパーなどでは、切り身の状態で売られていますが、家庭でおかずにするような魚の値段にしては、ちょっとしたご馳走とも言えます。
”銀鱈”の身は、白身ですが脂もかなり乗っています。そのため、日本料理店では、焼物にすることが殆どです。照焼や西京焼が、一般的です。
”佳肴 季凛”でも、西京焼としてお出ししています。照焼も悪くはないのですが、やはり西京焼のほうが、個人的には美味しいと思います。
西京焼といえば、”鰆(さわら)”も有名です。「どちらが美味しいのか?」という質問に対しては、好みの問題としか答えられませんが、自分の独断と偏見、そして想いの中では、”鰆”に軍配を上げます。”鰆”については、以前お話ししたことがあります。
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こちらが、”銀鱈の西京焼”です。この”照り”具合を見ると、否応無く食欲がそそられます。”佳肴 季凛”では、単品ものとしてだけでなく、会席料理のコースの焼物としても、召し上がれます。
自分としては、会席のコースの焼物に使う魚は、出来る限り、旬の魚を使いたいのですが、入荷状況によっては、使えない時、”銀鱈”に限らず、西京焼を使っています。
ちなみに、ちょっと前までは、”鰤(ぶり)”を使っていました。これからの冬と春の間の時季は、どの魚を使うか、判断に迷うこともしばしばですが、西京焼のような正統派は、一年を通じてのオールラウンド・プレーヤーです。
ただ、本来西京焼は、冬の焼物でした。味噌を使った料理は、冬の料理の典型でもありました。もっとも、今では頓着されなくなりましたが、格式を重んじる日本料理店では、今でも伝統にのっとっているようです。
ところで、”銀鱈”は焼物など、加熱して食べる魚ですが、最近では、生のまま入荷してくる養殖の”銀鱈”がいることを、昨年沼津の魚市場で、知りました。その”銀鱈”を扱う魚専門の商社の営業マンが、パンフレットを配っていました。
その時、サンプルとしても並んでいませんでしたし、食べられませんでしたが、自分が尋ねたところ、値段もなかなかでした。機会があれば、仕入れてきますので、味はその時まで。
志村

鰆(さわら)

我々料理人にも、いろいろと食べ物の好みがあります。ですから、自分の好きな食材を見ると、つい買ってしまうものも幾つかあります。
日本料理が専門である以上、やはり魚重視になってしまいます。自分が好きな魚は、何と言っても、ふぐが一番です。ただ、先日お話ししたように、魚には向き、不向きの調理法があります。
調理法の一つであるのが、焼物です。平たく言えば、焼魚のことです。
塩焼に始まり、照焼、柚庵焼(ゆうあんやき)、若狭焼(わかさやき)・・・。
魚の種類も、甘鯛(あまだい)、鰤(ぶり)、まながつお、かます・・・。
これほどまで、沢山ある中で、自分が好きな魚が、(今回は焼物に限っています。)鰆(さわら)です。さらに言うと、焼き方は西京焼です。
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こちらが、”鰆の西京焼”です。
沼津の魚市場には、日本各地から、鰆が入荷してきます。一番多いのが、九州を始めとする西日本です。ちなみに、岡山県では、鰆は県の魚となっています。
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この鰆は、福岡産です。
これ以外にも、入荷してくるのが、静岡県御前崎産の鰆です。
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これがその御前崎産の鰆です。沼津の魚市場では、最高値で取引される鰆です。また、以前テレビ番組でも、厳選素材として紹介されたこともあります。こちらを、ご覧下さい。
何よりも鮮度が良いことが、何よりの特徴です。また”釣り”ものであるので、身もしっかりしています。鰆は魚の中でも、最も身割れのしやすい魚の一つです。
もちろん、身割れも殆どありません。鮮度がどれくらいよいのかは、”エラ”の色をご覧頂ければ、一目瞭然です。
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それこそ、鮮やかな赤です。
沼津の魚市場で、御前崎産の鰆を見ると、自分は買う、買わないはともかく、殆どの場合、足を止めます。
もっと言うと、鰆の在庫が、店にあろうと、無かろうと、買ってしまうことも、しばしばです。
ただ、先ほどお話ししたように、値段も高いので、買う時は、それこそ、”腹をくくって”買いにいきます。
そこまでしたくなるほどの魚が、御前崎産の鰆なのです。
買ってきたら、身割れしないように、丁寧におろし、切り身に包丁します。それを、一晩うす塩をあてて、余分な水分を抜きます。こうすることで、生臭さが、抜けるのです。
その切り身を、西京味噌に漬けます。大体、3日程してから、味噌から出し、味噌をおとしてから、焼きます。仕上げに”照り”がつくよう、みりんを、塗ります。
肝心の”鰆の西京焼”の味ですが、”西京”と言うよりも、”最強”と言いたい位の味です。
”佳肴 季凛”にいらしたら、是非”鰆の西京焼”を召し上がってください。
志村
追伸 鰆の若魚のことを、”さごし”とか、”さごち”と呼びます。
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大きさも一本、1キロ~2キロ弱です。脂も乗っていないので、焼物にはイマイチですが、鮮度の良い物は、酢で締めて食べたりもします。
また、”さごし”と呼ばれる所以は、体高が低い=腰が狭い=狭(さ)腰(こし)、にあります。これが、なまって”さごち”です。
なんだか余談も長くなってしまいました。それほどまで、お話ししたくなるほどの魚が鰆なのです。

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