鍋用のすっぽんの仕込み
Vol.4154
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月23日)は
鍋用のすっぽんの下処理について
お話しします。
「おはよう、親方
市場が休みなのに
どうしているの?」
「おはよう
昨日、仕入れて来たんだよ。」
「そうなんだぁ。」
今お話ししたように
このすっぽんは
昨日
沼津魚市場で仕入れたものです。
まな板に乗せると
首を出してきました。
「すごいね~。」
「近づくと
危ないよ。」と言っているそばから
近付くと
「ワァ~、ヤバっ!」
「だから、言ったじゃん。」
「そうだけど。
噛まれたら
雷が鳴るまで
離してくれないの?」
「そんなわけないよ。」
「そうなんだぁ。
噛み付かれたことある、親方は?」
「無いよ。
鋭い歯じゃないけど
要注意だね。」
「でも、何で
ひっくり返しているの?」
「首を使って
起き上ろうとするからだよ。」
「手、足を使ったら
人間と変わらないもんね。」
「まぁね。
今から首を掴んで
締めるから
離れていてね。」
「はぁ~い。」
ここからの写真は
あまりにグロテスクなので
割愛させて頂き
説明のみで・・・。
①首を掴んだら
包丁を入れ
頭を落とします。
②その時に出た血が
活血(いきち)ですが
今日は使いません。
③卸す時は
甲羅をはがし
解剖状態。
ということで
卸し終えたすっぽんです。
「そばで見ていたけど
凄かったよ。
マジで、グログロ!」
「言った通りでしょ。」
「そうだね。
でも、卸したすっぽんは
ちゃんとした食材だね。」
「そうだよ。
ゲテモノと思っている人も多いけど
日本料理の中じゃ
高級食材にして
美食の一つだからね。」
「変な先入観は
良くないってことだね。」
「そうだよ。
すっぽんが可哀想だし
このすっぽんは養殖だけど
それを育てた人も
可哀想じゃん。」
「そうだね。
親方は必ず食材と
その食材に関わる人達のことを
大事にするよね。」
「当たり前だよ。
食材なくして
料理は出来ないからね。」
「そうだったんだね。」
「だから、漁師に限らず
一次産業に関わる人達を
ぞんざいには出来ないんだよ。」
「分かるよ。」
「命あるものを頂くんだもん
ちゃんとした気持ちは必要だね。」
「うんうん。」
今日のすっぽんは鍋用ですので
それほど手間はかかりませんでした。
というのも
すっぽん料理のコースの場合
すっぽん尽くしなので
活血や刺身などの下処理もあるからです。
ちなみに、こちらが
すっぽん料理のコースの内容です
「内臓も鍋に仕込むの?」
「そうだよ。」
「どれが何か
教えてくれる?」
「はいよ。
これが胃袋で
腸は胃袋の続きだから
似ているでしょ。
一番大きいのが
肝臓で
赤いのが心臓で
赤黒くて、豆みたいのが腎臓。
今日の2はいは
どっちもメスだったから
卵も入ってたよ。」
「なんだぁなんだぁ。
内臓で食べられないのはあるの?」
「膀胱(ぼうこう)。」
「膀胱は、どうしたの?」
「おしっこが入っている場合があるから
取ったら
すぐにゴミ箱行き。」
「おしっこは臭いの?」
「もちろん。
だから、おしっこが入っている時は
要注意だよ。」
「あとは?」
「食べられないわけじゃないけど
使わないのが胆嚢(たんのう)。」
「苦いから?」
「そうだよ。
つぶれると苦い汁が回るから
肝臓の一部と一緒に外すんだよ。
ただ、これを活血と一緒に
出す場合もあるみたい。」
「へぇ~。
僕達は、パスね。」
「胆嚢をつぶすると
こんな感じだけど
苦そうでしょ?」
「うん。
あと、食べなかったり
使わないのは?」
「爪だよ。
尖っているから
食べるわけにはいかないでしょ?」
「これは、ヤバいよ。」
この後、薄皮を取るため
70度くらいのお湯にくぐらせ
氷水に落としたら
ざるに上げます。
最初に
女将兼愛妻(!?)の真由美さんに
薄皮を剥いてもらいました。
「こういう仕事って
真由美さんがやること
多いよね?」
「そうだね。
こういう単純な作業って
意外と好きなんだよ、私♬」
「えっ~、そうなの?」
真由美さんがやったものを
自分が手直しをし
洗い上げ
すっぽんの仕込みが終わりました。
「それにしても
すっぽんの仕込みって
かなり手がかかるね。」
「まぁ、かかるね。
特に皮剥きが・・・。
でも、ここまで手を掛けるくらいに
美味しさがあるのが
すっぽんなんだよ。」
「そうなんだぁ。
ランチの時間も近づいているから
早く掃除、掃除!
じゃあ
♬ お片付け~ お片付け~
さぁさ
二人でお片付け ♬」
こうして
すっぽん鍋用のすっぽんの仕込みが終わり
ランチの営業時間と
なったのでした。
「明日は、お弁当があるんだね
そんじゃ、また」 by 熱血君
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ご興味、ご関心のある方は
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地物の勘八(かんぱち)祭り
Vol.4153
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月22日)は
地物の勘八(かんぱち)の
水揚げの様子について
お話しします。
「おはよう、親方
今日は、活かしのカンパチを仕入れたんだね。」
(写真のチョイボケ
すみません)
「おはよう
今朝は勘八祭り状態!」
「お祭り?」
「水揚げが多い時って
そんな風に言ったりするんだよ。」
「市場用語?」
「そんな感じかな。」
「で、どれくらいあったの?」
「活かしが4~50本くらいで
野締めも、その半分くらいかな。」
「そんなんじゃ
よく分かんないんだけど・・・。」
「それって
写真入りで話せってこと?」
「話せっていうか
お話し頂けると
たいへん嬉しいんですけど
いかがなものでしょう?」
「熱烈歓迎!」
ということで
例の如く
時計の針を
市場時間に戻します。
いつものように
沼津魚市場に着き
最初に向かったのが
活魚売場でした。
生簀を覗いていくと
沼津市西浦の定置網漁で
水揚げされた勘八が
この状態にして
わっしょいワッショイ!
16マスの仕切りのうち
11か12マスに
勘八が入っていました。
1マスに
4~5本入っているので
ざっくり50本程度。
また、今日のは
殆どが
殆どが
3,0キロ前後でした。
その中で
1,9キロのものを
GET!
その後
地物の売場に行くと
今朝の“勘八祭り”の主催者たる
冨久豊丸(ふくほうまる)が
水揚げと仕分けをしており
活魚売場同様
勘八が並んでいました。
締めてあるのは
水揚げした時点で
虫の息だったものです。
こちらも
3キロ前後が中心。
と、こんな感じに
仕入れて来ました。
スチロールから取り出したら
暴れないように
顔を覆ったら
頭と
尾びれの付根に
包丁を入れたら
氷を入れた海水に入れ
血抜きをしました。
その後
脊髄に針金を通し
神経を抜き
しばし、海水へ。
冷たい海水に浸けるのは
締めた時に
体温が上昇し
身が焼けてしまうのを
防ぐためです。
海水から取り出したら
すき引きという方法で
包丁で鱗(うろこ)を取り除きます。
このようにするのは
鱗が細かいからです。
鱗を取り、頭を落とし
はらわたを抜いたら
水洗いし
半身だけ
卸し
残りの半身は
骨に残っている血の塊を取るだけでなく
中骨に
金串を刺すと
血が出て来ました。
「どうして
こんなことをするの?」
「この半身は
氷詰めにするんだけど
血が残っていると
鮮度が落ちるからだよ。」
「血って
そんなに良くないの?」
「血を含めた内臓
鱗やぬめりが
魚の生臭さの原因だから
取り除かなくちゃならないんだよ。」
「そうなんだぁ~。」
卸した身は
キッチンペーパーに乗せ
冷蔵庫へ。
骨付の身は
氷詰めに
これまた冷蔵庫へ。
「ねぇ、親方
いつも、あらを焼いておくのに
どうして焼かないの?」
「身が活きている状態で焼くと
身が弾けて
ぐちゃぐちゃになっちゃうし
旨味も出ないからだよ。
だから、焼くのは明日か明後日。」
「そうなんだぁ。」
ちなみに、勘八の隣にあるのは
今朝仕入れた三重産の眼鯵(めあじ)です。
今朝仕入れたものですが
昨日水揚げされたものですので
今日焼いても差支えはありません。
ちなみに、【西京漬】用のサーモンと鰤(ぶり)は
養殖なので
このような使い方はしませんが
中骨などは焼いてから
ほぐし身にして
フレークにしています。
このようにするのは
養殖の魚は出汁の出方が
弱いからで
養殖の鰤を使うのは
天然の鰤の脂が薄い時季の夏場です。
どんな魚でも
最後まで使い切るのが
自分のスタイルで
マクロビオテイック(玄米菜食)の
一物全体という考えに基づいています。
※一物全体
食材を全て食べたり
使うという意味
そして、マクロビオテイックをベースにした
“身体(からだ)に優しい
美味しい日本料理”を通じて
身体も心も豊かになる食生活を
楽しむ人達が増えるためにも
努力を怠るわけにはいきません。
「明日は、すっぽんを卸すんだね。
そんじゃ、また」 by ミニふぐちゃん
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ご興味、ご関心のある方は
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バスツアーの日の早朝
Vol.4152
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
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【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月21日)は
次の日のお昼の御席のセットは
前日のうちに済ませるようにしており
セットをしてくれるのは
ほぼほぼ女将兼愛妻(!?)の真由美さんで
今日のバスツアーの御席のセットは
こんな風になりました。
自分もするというか
手伝うこともありますが
料理をお出しするのが
真由美さんですので
彼女の指示に従うのは
言うまでもありません。
人数も多かったこともあり
ホームグランドの沼津魚市場には行きませんでした。
そんな時は
娘達のお弁当の手伝いをさせられるというか
するようになります。
手伝うのは
お弁当用の揚物を揚げることです。
そんな今朝、厨房に行ったのは
5時前ですので
ふぐとらちゃん達は
ZZZ・・・
そんな二人を尻目にフライヤーに火を点け
油が温まる間に
バックヤードのトイレや
カウンターの掃除をし
その頃までには
出汁を引くなどのルーチンの段取りを終え
今朝のミッションたる
娘弁当用の豚カツと海老フライを揚げ
住まいである2階の真由美さんへ。
お弁当が仕上がると
ふぐとらちゃんが
「おはよう、親方
んまそう・・・」
「おはよう
今日のバスは来るのが早いから
どんどんやるよ。」
「はぁ~い、頑張って♬」
こういう時は
仕込みをすることは殆どありません。
時間は少ないものの
余裕をもって
掃除を
再開。
その後
盛付けをすることに。
デザート用の器を見ると
「このまま冷蔵庫にしまうの?」
「そうだよ。
デザートは
シャインマスカットのアイスだからね。」
「このところ
皮むきをしているよね。」
「そうだよ。
剥いたものもガッツリ冷凍してあるし
アイスの素も冷凍してあるしね。」
「しばらくの間
シャインマスカットのアイスは
続くの?」
「続くよ。
少人数のお客さんには
選んでもらうようにしているから
意外と長く出せるかもよ。」
「そうかなぁ。
シャイマスカットだよ、シャインマスカット!
今、一番人気のあるフルーツだよ。」
「そりゃ、そうだけど
そんなに熱を上げているってことは
食べたいとか?」
「・・・・・
えへへ・・・」
そして
予定通り
バス到着。
この後からは
一気にバタバタモードが頂点に。
手が空いたら
ふぐとらちゃんにせがまれ、外へ。
「どうして、今日は
玄関前に停めてあるの?」
「雨が降っていて
濡れないように入ってもらうようにするから
乗り降り口を
玄関に近いところにしてもらうんだよ。」
「そこまでするの?」
「っていうか
乗り降りの段取りを
天気によって変えるんだよ。」
「そうなんだぁ。」
お食事を終え
出発時間になったら
皆でお見送り
この様子をFacebookで投稿したら
こんなコメントをしてくれた方がいるんだよ。
「確かにそうだけど・・・wwwww
親方、分かってた?」
「んなわけないじゃん。」
「そうだよ。
俳句や川柳じゃあるまいしねぇ~。」
その後、片付けタイムとなり
再びバタバタモードに。
「真由美さ~ん、頑張って!」
「はいよ~。
お手伝いしてよ、ふぐとらちゃん達も・・・。」
「え~っと、その~
・・・・・。」
こうして
早朝からの半日が
終わったのでした。
「明日発送する【西京漬】に
豪華版があるね。
そんじゃ、また」 by 熱血君
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ご興味、ご関心のある方は
御覧ください。
3日間の沼津魚市場の各売場を、見比べてみよう
Vol.4151
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月20日)は
この3日間の
魚市場の水揚げ、入荷状況を
見比べてみましょう。
今朝、沼津魚市場から戻って来ると
「おはよう、親方
仕入れは、これだけ?」
「おはよう
そうだけど、だめ?(笑)」
仕入れて来たのは
小鍋用のめかぶと
【西京漬】用の鯖(さば)です。
「だめも何も
使うのは親方だし・・・。」
「一昨日、昨日、今日って
3日連続だし
そういう流れでの仕入れだから
自分の中では問題ないよ。」
「そうだよねぇ。」
今お話ししたように
3日連続で仕入れに行くと
その日によって
入荷、水揚げ状況は様々です。
普通に生活している限りは
天気だけを気にすれば
構いませんが
魚というか海は
天気の一部とは言え
風に加えて
潮の流れによって
大きな違いがあります。
沼津魚市場のメインの売場である【INO(イーノ)】
の各売場の写真を
定点観測的に
御覧ください。
◆活魚売場
・18日
・19日
・20日
18日と19日では
半分くらいの差があります。
19日は地物の水揚げが少なく
送りと呼ばれ
他所から入荷してくる魚が僅かでした。
また、20日は
殆どが地物で
網で覆ってあるのは
送りでもある
茨城産の伊勢海老です。
◆東、西、南伊豆方面の魚の売場
・18日
・19日
・20日
19日は、この後に
西伊豆方面の金目鯛(きんめだい)の
仕分けをし
そこそこの入荷だったようです。
20日のブルーシートは
熱海市網代(あじろ)の
黄肌鮪(きはだまぐろ)が
その入荷するとのことで
その前に自分は撤収。
◆陸送便の売場
・18日
・19日
・20日
陸送便の売場は
全国各地から送られてくる魚の売場です。
なので、入荷して来る魚は
前日か前々日の水揚げの魚になります。
20日が少ないのは
19日の水揚げが少なかったからです。
◆沼津近隣の魚の売場
・18日
・19日
・20日
18日がもっと多く
カラフルなざるに入っているのは
戸田(へだ)のトロール漁(底引網漁)で
水揚げされた海老(えび)
蟹(かに)を中心とした魚介類です。
この売場で
昨日仕入れたのが
南伊豆・妻良(めら)産の
錘鰤(つむぶり)です。
で、昨日
錘鰤を見たミニふぐちゃんが
「ツムブリを仕入れて来たの
久々じゃね?」
と、訊いてきました。
「そうだね。
たまには見ていたけど
少なかったからねぇ。」
「時季で
そんなに変わるもんなの?」
「変わるよ。
今日も
あったけど
南伊豆のだったよ。」
「ってことは
今が旬?」
「どうなんだろう?」
「変な言い方だけど・・・。」
「旬=沢山獲れる
っていうのは
間違ってはいないけど
何か違うような気がするんだよ。」
「どういうこと?」
「旬って
人間が勝手に決めたことで
自然界には
当てはまらないって思うんだよね。
そもそも、魚って
獲りに行かなきゃならないものだし
ましてや、狙っても獲れない場合もあるしね。」
「分かるような
分かんないような・・・。」
「潮の流れで
獲れる魚も変わるし
海の中のことは
全く分かんないからね。」
「確かに、そうだよね。」
「だから、この3日間に限らず
まめに市場に行くようにしていると
色んなことを覚えるんだよ。」
「そうなんだぁ。」
「特に、近隣の魚の売場
伊豆方面の魚の売場
活魚売場で仕入れるのは
刺身用の魚だから
要チェックの売場なんだよ。」
「じゃあ、陸送便の売場で仕入れるのは?」
「一番多いのは
【鰯の丸煮】用の真鰯(まいわし)とか
コース料理の西京焼用の鰆とか
あとは、似たようなものだけど
【西京漬】用の鰤(ぶり)ってとこかな。」
「市場に来る人達って
親方みたいな仕入れの仕方なの?」
「違うよ。
魚屋さんと料理人じゃ
全く違うし
料理人でも
使い勝手は色々だからね。
あと、好みの魚も色々だから
料理人の数だけ
仕入れの仕方があると思うよ。」
「料理人によって違うっていうのは
面白いね。」
「まぁ、市場に来ている人に限った場合だよ。
町の魚屋さんから仕入れている人もいるけど
その人達とは
接点がないから
全く分かんないね。」
「そうなんだぁ。」
「人それぞれ
やり方があるし
自分の場合
東京・新宿の鮨屋の時から
築地に行って仕入れることが
スタートだったから
今でも変わらないんだよね。」
「親方の料理人の歴史は
ずっと市場と一緒なの?」
「いや、料理屋(東京・赤坂)と
旅館(浜松)にいた時は
注文した魚が届いただけだから
その間のブランクはあるよ。」
「その頃はつまらなかったんじゃない?」
「そうだね。
で、こっちに戻って来てから
市場通いが復活したんだよ。
20年ちょっとになるかな。」
「人に歴史ありってやつじゃん!」
「気の利いたこと
知っているじゃん。」
「えへへ・・・。」
今お話ししたように
自分の料理人の歴史は
魚市場に通うことと共にあります。
これこそが
自分の原点ゆえ
それを忘れないのは言うまでもありません。
さらに、魚菜食文化である日本料理の伝統と
マクロビオテイック(玄米菜食)を合わせた
“身体に優しい、美味しい日本料理”の魅力を
伝え続けます。
「今日のお弁当も、んまそう
そんじゃ、また明日」 by ふぐとらちゃん
当店のお取り寄せや
通販の商品などを
召し上がった方々が
投稿して下さっています。
ご興味、ご関心がある方は
是非、御覧下さい。
昨日に引き続き、【ぽん酢】の仕込み
Vol.4150
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月19日)も
【ぽん酢】の仕込みについて
お話しします。
昨日の続きになりますので
朝一で仕込んだ【ぽん酢】の素です。
【ぽん酢】の素とは
自分が勝手に名付けた
醤油などを合わせた調味料です。
十分に冷めたら
昨日絞ったかぼすの果汁
橙(だいだい)の果汁
柚香(ゆこう)の果汁を
加えます。
写真を撮り忘れてしまいましたが
の3つの他に
酢橘(すだち)、レモンの果汁も
加えました。
「こんなに沢山の柑橘類が
入っているから
香りもいいんだね。」
と、熱血君。
「そうだよ。
鍋に入っている蜜柑(みかん)も入れると
全6種類。」
「ここまで沢山のかんきつ類が
入っているポン酢ってあるの?」
「無いと思うよ。
だから、【ぽん酢】って書いて
固有名詞的にしてあるんだよ。」
「そこまするんなら
商標登録しちゃえば!?」
「あはは・・・。
うちの【ぽん酢】には
天然のとらふぐのひれも入っているのは
知っているでしょ?」
「うん!」
ちなみに、こちらが
当店謹製の【ぽん酢】の原材料です。
※クリック、またはタップしても
注文は出来ませんが
カートのページに移動します。
「しかも
親方の写真入りだしね。」
「まぁね。
天然のとらふぐの美味しさを
引き出すために作ったのが
【ぽん酢】だからね。」
「いいじゃんいいじゃん」
味見をしたら
濾してから
瓶詰め
「どうして
ラップを巻いてあるの?」
「殺菌、消毒のため
アルコールで拭いたからだよ。
保存料や防カビ剤とかの
添加物フリーだから
こういう手当が必要なんだよ。」
「そうなんだぁ。
だから、お客さんに売る時の期限が
45日なんだね。」
「そうだよ。
こっちで冷蔵保存している分には
問題ないんだけど
販売ってなると
簡単にはいかないんだよ。」
「へぇ~。
賞味期限とか
消費期限って
変な面もあるみたいだし・・・。」
「表示のための表示みたいなところもあるし
まぁ、典型的なお役所仕事で
実際のところ
消費者が理解しているかも
問題だよ。」
「そうなんだぁ~。」
食品を販売するにあたっては
表示は大事なことですが
それ以上に
添加物を使わずに済ませることです。
これまでにもお話ししているように
食文化とは言えない
昨今の食環境が
これ以上堕落しないための
防波堤となることを使命とし
日々の仕事に臨み続けます。
「今日のお弁当、んまそう♬
明日もあるんだって。
そんじゃ、また」
☆★☆ 【コエタス】 ★☆★
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二週連続の休日出勤は、【ぽん酢】&お弁当の煮物の仕込み
Vol.4149
いらっしゃいませ
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こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月18日)は
についてお話しします。
今日は
沼津魚市場に行って来たのですが
定休日ですので
どこそこの売場へ行くも
スルーし
鮮魚の仕入れはありませんでした。
別棟の売場で
冷凍の海老を仕入れ
魚市場から撤収。
魚市場の次に向かったのが
車で15分程のところにある
食遊市場でした。
野菜をはじめ
調味料を仕入れたら
今朝の仕入れが終了。
『佳肴 季凛』に戻り
荷物を下ろすと
熱血君がやって来ました。
「おはよう、親方
魚市場よりも食遊市場の仕入れの方が
多いじゃん!」
「おはよう
そういう時もあるさ。
先週も休日出勤だったから
どんどん始めるよ。」
「頑張ってね♬」
ちなみに
今日の仕込みは2本立てで
先ずは
【ぽん酢】用のかぼすを搾ることです。
一昨日届いた時点で
水洗いし
水分をふき取り
ざるに上げておきました。
「ただ洗うだけじゃないんだね。」
「水があると
【ぽん酢】が傷むから
そこは大事だよ。」
「ふぅ~ん。」
半分に包丁したかぼすを搾ってくれるのは
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです。
そのまま使うので
手袋は必須アイテム。
搾ったら
ボウルに移し替えます。
「真由美さん、頑張って~!
かなり力を入れているけど
親方への不満爆発の代わりとか・・・!?(笑)」
「そんなことあるわけないじゃん。
美味しいふぐ料理の脇役だから
ついつい気合が入っちゃうんだよねぇ。」
「そうだよね。
季凛の看板だしね。」
搾り終え
量ったところ
1,4リットルで
熱血君も
「これしかないんだぁ~。
何だか、寂しい気分。」
「まぁ、こんなもんだよ。」
「っていうか
頑張った真由美さんが
何か可哀想な感じ・・・。」
「君は優しいねぇ~。」
「熱血料理人の分身だからじゃね!?」
「あはは・・・。」
「それにしても
この皮、すごいね。
何かに使うの?」
「使えないことはないけど
ごみ箱行だよ。」
「何でもかんでも
使い切るのに
珍しいね。」
「そこまで手が回らないから
しょうがないよぉ。」
「親方のアレンジっていうか
再生は面白いから
少し残念だね。」
かぼすの果汁を絞り終えたら
明日、明後日のお弁当の煮物の
仕込みをしました。
「煮物は
このまま使うんじゃないんでしょ?」
「もちろんだよ。
火入れを兼ねて
煮上げないとね。
海老は
煮汁から上げて
使うけど。
仕込みの時点で
しっかり煮汁を煮詰めてあるから
余程のことが無い限り
問題ないよ。」
「どういうこと?」
「ものが傷(いた)む時は
煮汁からだから
それをちゃんとしておけば
大丈夫なんだよ。」
「へぇ~、そうなんだぁ。」
これらを冷蔵庫にしまったら
包丁を砥ぎ
二週連続の休日出勤が終わったのでした。
「明日も【ぽん酢】の仕込みをするんだね。
そんじゃ、また」
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2023.9.18|お弁当 ぽん酢 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
法事の御席に、ラボット
Vol.4148
いらっしゃいませ
基本に据えた
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を信条とし
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【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月17日)は
癒しのAIロボットのラボット
についてお話しします。
今日は
2組の法事の御席の
ご予約を頂いていたので
“満席”とさせて頂きました。
お断りしてしまったお客様には
改めて、お詫びさせて頂きます。
ということで、
「僕達からも
ごめんなさい」
と、ミニふぐちゃん。
「ねぇ、親方
今日の法事に来たラボットちゃん
可愛かったよね。」
「初めて見たけど
面白かったね。」
と、自分。
「◎◆☆ちゃんも一緒に
写真を撮ったし
楽しかった~♬」
(注)◎◆☆とは、次女のことです。
年頃でありながらも
何故か、顔出しOKの次女。
ラボットとは
家庭用のAIロボットで
ご存じの方も多いかもしれませんが
詳しいことはこちらを。
お客様がお帰りになり
夜の準備をしていると
いきなり
「ねぇ、親方
ラボットちゃんと僕達
どっちが可愛い?」の質問。
「あのラボットちゃんは
よそんちの子だし
君達の方が
ずっと可愛いよ。」
と言うと
「わぁ~い!
良かった♬」
「でもさぁ
ちょっとでもいいから
お手伝いしてくれると
もっと可愛いんだけどねぇ~。(笑)」
「あ~っ、え~っと・・・。
そのうちに
お手伝いするよ・・・。」
今日はバイトとして
仕事をしてくれた次女は
かつて
“バイト代を払わなくても構わないパートさん”
の2号として
お手伝いしてくれたものでした。
こちらを
そんな次女も
もう高校3年生。
時が経つのは早いもので
半世紀を生きてきた自分です。
親方無しの子分無しの身ゆえ
歳を取らぬ気持ちだけは
変わることはありません。
「二週連続で、明日は休日出勤だね。
頑張って~♬
そんじゃ、また」 by 熱血君
『ぽん酢』用の柚香(ゆこう)、橙(だいだい)、香母酢(かぼす)
Vol.4147
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月16日)は
『ぽん酢』用の柑橘について
お話しします。
今朝のことです。
食器洗浄機の機嫌が思わしくなかったので
女将兼愛妻(!?)の真由美さんと
朝から奮闘するも
機嫌も直り、ひと安心しました。
「おはよう
問題なくて
良かったよね~。」
と、ふぐとらちゃん。
「そうだよ。
こんな三連休の時に
どうにもこうにもならなくると
色々と厄介だからね。」
「どこが悪かったの?」
「機嫌!」
「すぐに、そういう言い方をするよね
親方は・・・。」
「そう!?
水位センサーが汚れていたから
その掃除をしたんだよ。」
「時々、出るエラー表示でしょ?」
「水が抜けたりする時も
出るんだけど
何度もそうなったから
焦ったんだよ。」
「そうなんだぁ~。」
「そうだよ。
じゃ、始めるよ。」
前置きはさておき
ここから本題です。
今日、宅配便で届いたのが
瓶詰のゆこう酢と
生のかぼすです。
「ゆこうって
初めて聞くけど・・・。」
「普通の人には珍しいかもしれないね。
徳島名産の柑橘(かんきつ)で
柚子(ゆず)と橙(だいだい)の
いいとこ取りみたいなものだよ。」
「へぇ~。」
「柚子みたいに香りが強いんだよ。」
「徳島ってスダチも有名だよね。」
「そうだよ。
詳しいじゃん。」
「えへへ・・・。」
「じゃ、かぼすとの違いは分かる?」
「・・・・・。」
「かぼすは、大分が名産で
実が大きいのが特徴だよ。」
「ふぅ~ん。
味の違いは?」
「すだちは酢橘って書くように
酸っぱいんだけど
元々、酢を断つくらいに酢っぱいが
語源なんだよ。」
「単純っていうか
分かりやすいっていうか・・・。(笑)」
「かぼすは
当て字で香母酢って書くんだけど
香りが強いのが特徴だね。
臭橙とも書くけど
臭いって字は
どうも好きになれないんだよね。」
「何となく、分かるなぁ。」
「どっちも『ぽん酢』を仕込むのに
使うんだけど
かぼすは
『いいちこ』っていう麦焼酎のメーカーが
酒屋を通じて
毎年、送ってくれるんだよ。」
「いいじゃん!」
「普段の行いが良い人には
ご褒美があるんだよねぇ。」
「自分で言うかなぁ。」
「何か言った?」
「いや、気のせいじゃね。」
かぼすは絞らなくてはならないのですが
きれいに洗ってから
拭き
ざるに上げ
乾かしておきました。
乾かしておくのは
水分があると
カビが生えたり
腐敗する場合があるからです。
また、橙(だいだい)も
柚香を同じ徳島県の業者から仕入れるのですが
欠品中ということで
橙の果汁で有名なメーカーの
『岸田ポン酢』を使うことにしました。
「これと
今までのとは違うの?」
「これまでのは
生搾り果汁だから
味がいいんだよ。
でも、欠品中だから
しょうがないよ。
これも、味がいいし
これまでにも使ったことがあるから
心配ないよ。」
「それなら、いいけどね。」
ちなみに、当店の『ぽん酢』は
をクリック、タップしても
ご購入は出来ませんので
あしからず。
柚香(ゆこう)と橙(だいだい)は
元々、注文しておき
来週あたりに仕込む予定でしたが
香母酢(かぼす)が届いたことで
予定が早まったので
天然のとらふぐのひれも
炙っておきました。
天然のとらふぐ漁も
もうじき解禁となり
秋の訪れも
すぐそこです。
「明日は法事の御席があるんだね。
そんじゃ、また」 by ふぐとらちゃん
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当店のお取り寄せや
通販の商品などを召し上がった方々が
投稿して下さっています。
ご興味、ご関心のある方は
御覧ください。
2023.9.16|ぽん酢 ふぐ 野菜・果物(フルーツ) |permalink|コメントはまだありません
血抜き、氷詰めした地物の葉血引(はちびき)
Vol.4146
いらっしゃいませ
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“身体に優しい美味しい日本料理”
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天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
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【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月15日)は
地物の葉血引(はちびき)を
日持ちさせる方法についてです。
「おはよう、親方
仕入れ、お疲れ様~♬
今日は、戻って来るのが
遅めじゃね?」
「おはよう
遅いってほどでもないけど
遅めだね。」
熱血君が言うように
戻って来たのが
8時過ぎですから
30分から1時間は遅めで
遅めだったのは
食遊市場に寄ってきたからです。
食遊市場は
沼津魚市場から車で15分程のところにあります。
また、野菜、肉をはじめ
様々な食材を売っている
ショッピングモールのような施設です。
そんな今朝の流れは
4時半前に
魚市場に着きました。
御覧のように
仕入れに来ている人は
殆どいません。
早く来たのは
自分好みの魚を見つけるためで
あったのは
沼津近隣の漁船が水揚げする
地物の魚の売場に並んでいた
葉血引(はちびき)だけでした。
とは言え
競りが始まるのは5時45分ですので
1時間もありました。
せっかちな自分は
この間に
食遊市場へ行こうかと思ったのですが
葉血引を仕入れられなかった場合
次の作戦もあるので
構内を
どこそこ物色するも
自分好みのものは無し。
ところで
この2、3年の間
魚市場に来る回数が増えたので
沼津近隣、東伊豆、南伊豆方面の魚を
目にする機会が増えました。
そのため、地物の魚の旬というか
獲れる時季を覚えたので
たかが1、2か月の間でも
水揚げされる魚の種類が変わることを知り
魚市場へ来て
地物の魚を見ることが
それこそ、目から鱗状態。
そんなこんなで
葉血引を、無事にGETし
6時前ということもあり
戻ったのが
8時過ぎだったのです。
「そういう流れで
遅くなったんだね。」
「そういうわけね。」
葉血引は水洗いしたら
中骨に残っている血痕などを
取り除き
腹と
尾から
金串などを差し
血を抜きました。
「どうして、こんなことするの?」
「明後日使う魚だから
持たせるためだよ。
血が残っていると
鮮度が落ちやすいし
生臭みが残りやすいしね。
その日に卸して使うなら
ここまでする必要はないけどね。」
「ふぅ~ん。色んなやり方があるんだね。」
腹にキッチンペーパーを詰め
身を包んだら
真空パックし
氷詰めしておきました。
血抜き、氷詰めをすることで
普通の冷蔵保存するよりも
3~5倍、鮮度を保つことが出来ます。
もっとも、この目方なら
日曜日分で、
ちょうど使い切れそうで
ひと安心し
市場皆勤一週間が
無事に終わったのでした。
「明日、明後日は市場が休みだね。
そんじゃ、また」 by ふぐとらちゃん
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【鰯の丸煮】だけでなく、酢締め、醤油干しに仕込んだ真鰯(まいわし)
Vol.4145
いらっしゃいませ
基本に据えた
“身体に優しい美味しい日本料理”
を信条とし
天然のとらふぐ、西京漬(西京焼)を
こよなく愛す
【佳肴 季凛】の店主兼熱血料理人の
志村弘信です。
今日(9月14日)は
今朝、沼津魚市場に行くと
北海道・根室産の真鰯(まいわし)が
入荷しており
売場に並んでいた5ケース全て
仕入れることにしました。
積み上げると
いわしタワーの完成です。
【佳肴 季凛】に戻ると
「おはよう、親方
仕入れ、お疲れ様♬」
と、ミニふぐちゃん。
「おはよう
5ケースも仕入れて来たから
どんどん始めないとね。」と
言いながら
オープン・ザ発泡スチロール。
「この氷、普通のと違うんじゃね?」
と、訊かれたので
「詳しいことは知らないけど
溶けにくい特殊なのだよ。」
と、返すと
「親方でも知らないこと
あるんだぁ~。」
「そりゃ、あるさ。」
「そりゃ、そうだよねぇ。
で、この袋
ピカピカしてきれいだけど
どうしてなの?」
「この袋は
アルミ蒸着(じょうちゃく)袋って言って
保冷効果が高いんだよ。
鮮度落ちが魚を箱詰めする魚に
使うことが多いね。」
「へぇ~。
例えば、どんな魚なの?」
「真鰯、秋刀魚(さんま)
鰹(かつお)とか
表面が光っている魚だね。
この袋だと
鮮度感が際立つからだよ。」
「見た目だけのためなの?」
「そんなことないよ。
肝心の身の鮮度を保つためだよ。」
「そこが肝心だしね。」
「雑談はここまでにして
始めるから、下がっていてね。」
「はぁ~い♬」
鱗(うろこ)を取り
頭を落とし
はらわたを抜いたら
水洗いをしてくれるのは
いつものように
女将兼愛妻(!?)の真由美さんです。
「5ケースって言ってたけど
1ケースに何匹、入っているの?」
と、訊かれたので
「箱を見てごらん。」
「22匹ってことは
110匹じゃん。
沢山あるね。
こりゃ、僕達の相手どころじゃないよね。」
これらは
【鰯の丸煮】用です。
「このボウルに入っているのは?」
「これらは、刺身用とおかず用だよ。
刺身って言っても
酢で〆るんだけどね。」
「そうなんだぁ。
おかず用って・・・?」
「まぁまぁ、おかず用は
後でね。」
「ふぅ~ん。」
きれいに水洗いしたら
三枚に卸します。
塩を振った盆ざるに乗せたら
身にも塩を振っておきました。
「塩の分量と時間は
どれくらいなの?」
「脂の乗り方にもよるけど
さっきぐらいかな。
時間は、気温によって違うけど
塩が溶けるまでだよ。」
「ふぅ~ん。」
「この開いたのは?」
「これが、例のおかず用。」
「骨も付いているけど・・・。」
「これらは
日本酒と濃口醤油を同割にしたものに
漬け込むんだよ。」
「で、そのあとは?」
「まぁ、慌てなさんな。」
漬け込むこと20分。
天日で干すと
「こういうことね。
おかずっていうのが
分かったよ。
醤油干しってことだね。」
「そういうこと。
焼くんだけど
これが美味いんだな。」
「いいなぁ~」
その頃までに
塩をした真鰯を水洗いし
二番酢に軽くくぐらせておきました。
二番酢とは
一度、酢〆に使った酢のことです。
土曜日と日曜日に使うため
このまま冷蔵庫へ。
「どうして
酢に漬けないの?」
「酢に漬けてから
時間が経つと
苦味が出るから
このままにして
明日か明後日、酢に漬けるんだよ。」
「へぇ~。
そこまでするんだね。」
「そりゃ、そうだよ。」
ランチの営業時間も近づいていたので
真由美さんと掃除を始めると
//
お片付け~ お片付け~
さぁさ 二人でお片付け・・・♬
\\
ランチの営業が終わる頃までには
醤油干しも仕上がり
「んまそう~!
脂乗ってそうじゃん。」
「乗ってそうじゃなくて
乗っているの、ほら。」
「わぁ~、ワックスじゃないよね!?」
「そんなわけないじゃん。」
「あはは・・・。」
そして
仕上げの水洗いをすることに。
仕上げの水洗いとは
腹に残っている胆のうの痕を
包丁することです。
胆のうは苦玉とも呼ばれるため
残っていると
「苦っ!」となるからです。
キッチンペーパーを敷いた鍋に並べたら
水と酢を注ぎ
火に掛け
火加減は超々弱火です。
仕上げの水洗いをした水を見ると
「一度、水洗いしても
ここまで汚れるんだね。」
「これが生臭い原因だから
取り除かないとならないんだよ。
ちゃんとした下拵えをしないから
魚=生臭い=美味しくない
ってなって
魚離れが進んじゃうんだよ。」
「それじゃ、魚も漁師も
可哀想じゃん!」
「そうだよ。
頭もきれいにしてから
焼いて、出汁を取るんだよ。」
「これだけでも
食べられそうだよね。」
「どんな食材でも
元は命だから
粗末には出来ないよ。
それらを作る農家
獲りに行く漁師のことを思えば
なおさら粗末なことを
するわけにはいかないよ。」
「そうだよね。」
とにもかくにも
今の日本は
一次産業を蔑(ないがし)ろにし過ぎで
食のあるべき姿を
しっかりと考えるべきです。
「外の彼岸花も、そろそろだね。
そんじゃ、また明日」 by 熱血君
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