真空調理で仕込む帆立
生の帆立は、殻付のままで売られているもの(通称 カラホ)と、
殻を剥いた状態で売られているもの(同 ムキホ)が、
あります。どちらの産地も、北海道や三陸で、恐らくこれ以外のものは、記憶にある限り、見たことはありません。自分が仕入れてくるのは、ムキホが殆どで、この日のものは、
三陸の岩手県産のものでした。新鮮な生のものですので、このままきれいに水洗いしてから、刺身としてお出しすることが出来るのですが、自分は、ひと手間加えてから、お出ししています。
パックから出したら、
汚れなどを取り除いてから、水洗いして、貝柱の部分についている固めの小さな柱を取り外します。自分は、この小さめの柱を、“柱の柱”と呼んでいますが、正式には、何というのか全く分かりません。また、どちらも普通に食べることが出来るのですが、自分が使うのは、大きな柱の部分です。
盆ざるに乗せた帆立を、
バーナーで、両面を炙り、焦げ目がついたら、そのまま冷水に落とし、水分をふき取ってあから、アルコール分を飛ばした日本酒と一緒に、
真空パックしてから、スチームコンベクションオーブンに入れ、
70度で、10分程加熱します。このように、真空パックしてから、加熱することを、“真空調理”と呼んでいます。時間になったら、必要以上に火が入らないように、冷水で、一気に冷まします。
真空パックされてから、加熱されているので、旨味も逃げず、保存性が高く、帆立そのものの甘味が感じられます。また、70度いう低温で調理してあるので、身も固くならず、火の入ったレア状態ですので、
甘味の強い帆立の刺身として、味わうことが出来ます。
また、帆立は、天然と養殖があるのですが、味に大きな差がなく、一年を通じて、入荷が安定しているのも、大きな利点ですし、貝類でありながらも、クセも少ないので、お出しする側としては、非常に使いやすい食材でもあります。ですので、
会席料理の刺身や、ランチメニューの『季』(おひとり 1,500円)の副菜では、
“帆立の辛子酢掛け”で、お出しすることもしばしばです。
このように、所謂生ものとして使わない時は、揚物、焼物、煮物などにも使え、帆立は万能選手ですし、干した貝柱は、生にはない深い味わいを、持っています。食材としては、華こそありませんが、その存在感は、時に多くの人が評価する名脇役そのものと言えるはずです。
年明けの鮪は、2年連続で、長崎県壱岐産の本鮪
今日が、新年最初の営業ということもあり、
今朝は、沼津の魚市場へ行って来ました。正月休み後で、週末の三連休にして、明日が、
東京・築地などの中央市場の水曜日休みという“トリプルパンチ”で、市場の冷凍ものを中心に扱う“塩干売り場”は、
赤い服を着た市場の職員が、殆どでした。そんな今朝、自分が仕入れたのは、
【贈答用西京漬】に仕込むサーモン(ノルウェー)の5,5キロのものをはじめ、
帆立(岩手)や、
小肌(佐賀)などでした。
仕込みを始め、しばらくすると、
宅配便で、東京・築地から、新年最初の鮪が届き、昨年と全く同じ長崎県・壱岐産のものでした。
新年最初というと、ここ何年か話題になるのが、築地での初競りの鮪の値段で、ご存じの方も多かもしれませんが、今年は、
このような相場でした。これまで何度もお話ししていますが、これからの時季、本鮪は、大間、戸井などの有名産地がある津軽海峡を離れ、日本海を下り始めます。真冬ど真ん中ですが、季節は、春に向かい始めました。
平成26年、始まりました
平成26年の最初の投稿ですので、先ずは、明けましておめでとうございます。今日まで、お休みさせて頂き、
明日の7日(火)から、通常通り、営業します。例年、5日に開く市場に合わせるのですが、今年は、
昨日の日曜日からで、定休日前ということもあり、ちょっと遅めの年明けとなってしまいました。明日からとは言っても、そのまま開店というわけにはいかないのが、飲食店ですので、今日は、仕込みをしました。
天気も良かったので、仕込みの前に、
暮れに卸したふぐのひれを干し、
先付でお出しする“南京豆腐”を、最初に仕込みました。ちなみに、“南京豆腐”とは、南瓜を使った豆腐です。
その次に、
刺身の妻や、
“サラダ素麺”の野菜を、包丁しました。これ以外には、
米を砥いだり、雑穀を水に浸しておきました。最後に、出汁を引くための昆布と干し椎茸を、
水の入った鍋に入れておき、
包丁を砥いで、お昼までに、完全に終わることが出来ました。また、今日は魚の仕込みが、一切なかったので、使った包丁も、薄刃と牛刀の2本だけでした。
ちょっと休みも長めに取れ、明日から、当店の平成26年が始まります。本年も、どうぞ宜しくお願い致します。