出刃包丁
料理人にとって、何よりも大事なのが、包丁です。自分の場合、普段使う包丁だけでも、5,6本あります。使わないものも含めると、全部で15本ほどあります。
また、用途が同じでも、何種類かそろえているものも幾つかあります。その一つが、出刃包丁です。
一番右の出刃包丁は、ステンレス製のものです。ステンレスと言っても、一般家庭で使うものと異なり、”焼き”も入っているので丈夫です。なによりも、錆びないのが、一番の特徴です。
用途としては、魚の頭を落としたり、かにを包丁する時など、固いものを切るのに使っています。刃こぼれしてもお構いなしです。
真ん中の出刃包丁は、ふぐの皮のとげを取る時専用の包丁です。ふぐの皮の
とげのお話しは、こちらを。
ですから、これからの時季に主に使う期間限定の包丁とも言えます。またこの包丁は、”本焼き”といって、全てが鋼で出来ているので、刃の切れ味の持ちも良いのが、何よりです。それゆえ、値も張ります。最低でも、福沢諭吉のお札が、10枚分です。
一番左の出刃包丁は、普段魚を卸す時に使います。ふぐ、ひらめに始まり、あじ、いわしのような小魚に至るまでです。
この包丁は買ってから、10年以上経ちます。魚をそれほど扱わない持ち場の時は、殆ど使うこともありませんでしたが、それでも十分元は取った筈です。ちなみに、この包丁の値段は、”本焼き”ではないので、例のお札が、3枚もあれば、買えます。
買った当時は、まだ鮨屋の見習いの頃だったので、そんなに高い値段が出せなかったのが、本当のところです。
ただ、今度この大きさの出刃包丁を買う時は、”本焼き”にするつもりです。長い間使うので、良いものを買うことにしているからです。
包丁を買う時は、いつも東京の専門店に行き、手にとって、買うことにしています。地元の富士市や富士宮市にも、包丁を扱っているお店も、あるのですが、同じものでも、自分の手になじむものと、そうでないものもあるので、わざわざ、東京まで行くのです。
沢山魚を、卸して、毎日研いでいれば、包丁も小さくなるので、早ければ来年の今頃、買い換えることになりそうです。早く、新しい包丁が欲しいなぁ~。
志村
追伸 我々料理人(特に日本料理の場合)は、”切る”とは言わず、”包丁する”と言います。
作家物
”佳肴 季凛”開店まで、あとわずかです。準備も滞りなく(!?)進んでいます。食材、道具類の納品もほとんど、終了しましたが、一つだけ”まだ”のものが、ありました。
それが、今日の夕方に、納品されました。
これらの器です。季凛のための、季凛だけの器です。いわゆるオリジナルです。
もっと言うと、作家物です。これらの器を作ってくれたのが、室伏さんです。
室伏さんの工房は、季凛から徒歩5分のところにあります。そちらへは、何度もお邪魔したことがあり、いろんなお話しをしたことがあります。”ものつくり”に関することになると、お互い共鳴する部分も多いので、時間を忘れてつい話してしまいます。
そして、結論はいつも一緒です。
それはともかく、こちらが箸置きです。
室伏さんの、技法は”練りこみ”という特殊なものです。器というより、芸術作品のようです。
さらに、こちらが、刺身用の小皿です。
バラをモチーフとした絵柄です。使うのがもったいないような気もします。
最後がコーヒーカップです。
以前から自分は、自らのスタイルで料理を作る舞台が、獲られたら、作家物の器を使うことを、望んでいました。
また何よりも、今回の室伏さんのように、不肖・志村の料理を好んでくれる方に作ってもらえたことが、とにかくうれしいのです。
料理人にとっては、ある意味夢のようなコラボともいえます。季凛に見えたら、料理同様、味わってみて下さい。
ところで、今度は何を作ってもらおうかなぁ~。
志村
フル回転
”佳肴 季凛”開店に備え、着々と準備が進んでいます。仕込みも同様です。前回お話ししたように、季凛では、八ツ時(やつどき)という、ティータイムを設け、アイスクリームなどのデザート類を出すので、特にその仕込みに追われています。
メニューをご覧頂ければ、お分かりかと思いますが、アイスは5種類あります。そのため、今回のリニューアルにあわせ、伝家の宝刀とも言うべき、機械を入れました。
こちらが、その機械です。アイスクリームを作る専用の機械で、”アイスクリーム・マシン”といいます。
羽がついているボールのところに、アイスクリームの”種”を入れ、周りが段々と冷えていきます。その時、羽がグルグル回転します。
その時の”種”の温度、気温によって、差がありますが、固まるのに、30分程度かかります。一度には、出来ないので何回かに分けるのですが、それでも2時間もあれば出来ます。
以前は、ボールに”種”を入れたまま、冷凍庫に入れ、固まってきたら、ハンドミキサーでかき混ぜ、また入れて、かき混ぜての繰り返しでした。この作業を5回くらいしていました。仕上がるのに、最低でも3時間はかかっていました。
それに比べれば、今は、楽チンそのものです。自分の代わりをしてくれ、人一人分の仕事をしてくれます。
アイスクリームをはじめ、季凛の料理は全て手作り、自家製です。「今は既製品でも、良いものがあるから、そこまでしなくても。」と言う人もいます。
けれども、自分に言わせてもらえれば、沢山あるお店の中から、季凛を選んできたくれたお客さんに、自分が作った料理を食べて、喜んでもらうのが、何よりの喜びです。
そうして、お金を頂くのが、料理人のあるべき姿だと思っていますし、それをするために、季凛をやるのです。自分の納得いく食材で料理して、自分が美味しいと思うものを、お客さんに食べてもらうのが、自分の生命線です。
今日もこれから、アイスを仕込みます。今日は1種類しかつくりませんが、昨日までは、それこそフル回転でした。
ところで、肝心のアイスの写真ですが、実物は季凛に来て、見て、食べて下さい。
志村
こちらも進行中
”佳肴 季凛”(かこう きりん)の開店準備も、着々と進んでいます。内外装のお話しについては、ここ最近何度かしていますが、料理人志村にとって、それ以上に神経を使うのが、厨房に関することです。
今回の改装では、厨房については、一切しませんでした。とはいっても、厨房の道具類も、2階に置いたりしていたので、それらを、元の場所に戻さなくてはなりません。しかも、これがなかなかの重労働です。
ここ2日間で、半分以上片付けることが、出来たので、気分も落ち着いています。
器も、棚に無事収まりました。こういう時に、割ったりしがちですが、幸いにも、そのようなことにもならず、一安心です。また、今回の改装にともなって、新しい器も新調しました。
今回に限らず、新しい器を選ぶのは、食材選びと同じくらい、ワクワクします。
ただ、自分が「良いな。これ欲しい。」と思う器に限って、結構な値段で、心の中で、「もっと安くならないのかなぁ~。」と、つい思ってしまいます。
器と料理は、切っても切れぬ関係で、美味しい料理には、やはり良い器が似合います。”器は料理の着物”とは、よく言ったものです。
また、道具類も、もとの場所に収まりました。
器同様、道具類も新調します。今回はじめて、購入するものもいくつかあります。これまた、楽しみです。近々、納品されますので、またお話ししたいと思います。
こういう準備が進んでくると、実際に料理を作っていなくても、新しい料理や、ヒントが浮かんでくることも、しばしばです。
厨房にいると、料理人としての、”勘”が、働くのかもしれません。ある意味、慣れとはすごいものです。
また料理から離れていると、「ちゃんと今までのように、作れるのかどうか。」と、不安になったりもしましたが、そんな不安も、今では全くなく、今日から少しずつ、仕込みを始めていきます。
”まだ”なのか、”もう”なのか。”佳肴 季凛”開店まで、2週間を切りました。
志村