ふじさんクーポン
こんにちは、真由美です。おかげさまで、うちの次女も幼稚園に入ることができました。昨日、入園式でした。
ところで、先日、志村さんがこんなチラシを渡してきました。富士市商工会議所から、届いたものです。
”ふじさんクーポン”という商品券が販売され、富士市の消費拡大と商業振興を、目的とすると書かれていました。
詳細については、こちらを、ご覧下さい。
”佳肴 季凛”は、地元の鷹岡商工会に所属しているので、申し込むことにしました。ですから、”佳肴 季凛”でもご利用できます。
ランチタイムを含め、いつでもご利用できます。世の中、不況ムードで溢れていますが、”ふじさんクーポン”を使って、飲食店に限らず、富士市のお店が少しでも、良いムードになって欲しいものですね。
真由美
続・身欠き鰊
昨日に引き続いて、”身欠き鰊”のお話しです。
掃除した”身欠き鰊”は、とぎ汁と一緒に火にかけます。沸騰してから、しばらく湯がいたら、水に晒します。
身についた汚れを落としたら、昆布を入れた二番出汁で、煮ていきます。その際、酢を少し入れます。酢を入れるのは、軟らかくするためです。
こちらを。
その後、濃口醤油とたまり醤油を入れ、さらに煮詰めていきます。
煮汁が少なくなってきたら、香りづけに、”有馬山椒”を入れます。”有馬山椒”とは、山椒の実の佃煮です。
ちなみに、料理の名前に、”有馬(ありま)”がついているものには、山椒が入っています。”有馬”とは、兵庫県の”有馬温泉”のことで、山椒の産地として有名です。
また、京都府の”鞍馬(くらま)山”も山椒の産地で有名なので、同じ様に”鞍馬”と名前がつけば、山椒の入っている料理を意味しています。間違っても、天狗は入っていません。
日本料理では、この他にも地名がついた料理がいくつもあります。五重塔で有名な”東寺”とつけば、湯葉の料理ですし、”南禅寺”とつけば、豆腐の料理です。
”甲州”とつけば、ワインを使った料理です。要するに、有名な産地が名前につけられているのです。
こういう、隠喩めいた表現は、日本料理に限らず、フランス料理やイタリア料理でも耳にすることが出来ます。”○○のニース風”とか、”△△のマルセイユ風”のような感じです。
そう思うと、料理というものは、その土地とは切り離して考えることは出来ないものです。
そんなお話しをしているうちに、煮汁もなくなりかけてきました。その頃合を見計らって、味醂を入れます。照りを出すためと、煮しめるためです。
ようやく、煮上がりました。”鰊の有馬煮”の出来上がりです。下茹でを含めると、三時間ほどかかります。
今の時代、”身欠き鰊”のような仕事は敬遠されがちです。ただ、現在の日本料理の一つの流れとして、昔ながらの伝統的な仕事を重視してます。つまり、基本や原点に立ち返った仕事です。そういう基礎の上に、初めて新しい料理が生まれるのです。
さらに言えば、素材そのもの美味しさが求められるのも、現在の料理でもあります。
どんなに沢山の料理を作っていても、新しい料理は浮びません。同じことを繰り返しているうちに、ある日突然、頭の中に、豆電球が灯るのです。
こんなことをお話しすると、自分のことを、料理の名人や達人と思うかもしれませんが、決してそんなことはありませんし、間違ってもそう思わないで下さい。単純な繰り返しを、飽きもせずやり続けているだけなのです。
自分は、ただただ料理を作ることが楽しく、お客様に、自分の料理を喜んで食べてもらいたいがために、やっているだけなのです。ですから、自分の道楽めいたことにお付き合いしていただいていることに、感謝の念はつきません。
このブログも同様で、少しでも多くの方たちに、日本料理の美味しさ、料理人としての在り方を知って欲しいから、書き続けているのです。
これからも、どうぞお付き合い下さい。
志村
身欠き鰊
ここ最近、会席コースの煮物でお出ししているのが、”鰊(にしん)、干し椎茸、車麩の炊き合わせ”です。
ちなみに、”炊き合わせ”とは、別々に煮た食材(味付もそれぞれ異なります。)を、一つの器に盛り付けた料理のことを言います。
この三種類は、どれもが乾物です。その中でも、仕込みに時間がかかるのが、”鰊”です。
ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、干した”鰊”は、”身欠き鰊”と呼ばれています。
自分が知る限り、国産の”身欠き鰊”は聞いたことがありません。
この”身欠き鰊”はアメリカ・アラスカ産です。その他の産地では、ロシア、カナダがあります。
自分が買い求めるものは、”4L”サイズの大きなものです。
また、”身欠き鰊”には、完全に干した”本干”と、半生の”ソフト”があります。自分が使うのは、”ソフト”の方です。その理由は、”ソフト”の方が、仕込みに時間がかからないのが一番の理由です。
とは言っても、一日半~二日はかかります。
前日のうちに、”身欠き鰊”を、米のとぎ汁に漬けておきます。米のとぎ汁に漬けることで、苦味やえぐみを取り除くことが出来ます。
その後、お腹の部分の汚れや、鱗を取り除きます。
丁寧に一つずつ、掃除をします。
この次に、”身欠き鰊”を湯がくのですが、仕込み同様、お話しするのに時間がかかるので、今日はここまでにしておきます。
志村
日本料理店の酢味噌
この時季の定番料理の一つである”蛍烏賊と分葱(わけぎ)の酢味噌和え”です。
”蛍烏賊”と”分葱”が中心素材ですが、それ以上に味の決め手となるのが、”酢味噌”です。
”酢味噌”というと、味噌、酢、砂糖を混ぜれば出来ると思われていますが、(もっとも、一般家庭ではこれで十分です。)”佳肴 季凛”のような日本料理店でいうところの”酢味噌”は、全く違う代物です。
味噌が違います。とは言っても、値段が高い銘柄の味噌ではありません。
日本料理では、”玉味噌”というものを作って、それを”土佐酢(とさず)”で伸ばしたものが”酢味噌”なのです。
ちなみに、”土佐酢”とは、鰹出汁に酢、砂糖、醤油などの調味料を入れて、作ったもので、簡単に言えば、”酢の物”用の酢のことです。
”玉味噌”は、味噌、卵の黄身、砂糖に調味料を入れて、火にかけて、練り上げたものです。自分は、隠し味にメープルシロップを入れます。何はともあれ、作り方をお話しします。
田舎味噌、白味噌、卵の黄身、練り胡麻(胡麻のペースト)を、合わせます。
よく混ざったら、日本酒、砂糖、みりん、を入れます。
均一に混ざったら、火にかけ、練り上げます。
鍋の中に入っているものは、焦げやすいものばかりなので、火加減に注意します。また、卵の黄身が入っていますから、完全に火を通さなければなりません。
鍋肌についた味噌が焦げつかないよう、注意が必要です。弱火で練るのですが、今回の分量(仕上がりで1,5キロ位)で、約20分かかります。
練りあがったら、今度は裏ごしにかけます。滑らかにするためです。これも、15分くらいかかります。
”玉味噌”は、”酢味噌”に使うだけでなく、木の芽を叩いて入れれば、”木の芽味噌”になりますし、出汁、日本酒で伸ばして、”田楽(でんがく)味噌”を作って、豆腐の上にのせて焼いたりもします。
卵の黄身が入っているので、コクと風味が豊かで、その用途は上に挙げた以外にも、基本の合わせ調味料として、重宝します。
ちなみに、赤出し味噌で作ったものは、その色から”鉄火味噌”と呼ばれています。
ですから、”佳肴 季凛”でお出しする”葱ぬた”を召し上がったお客様は「田舎の”葱ぬた”と違う。さすが、日本料理店だね。」とほめてくださいます。
”本鮪”や”ふぐ”などは、日本料理店の金看板というべき素材です。これらを使うことは料理人として、醍醐味を感じます。しかしながら、これらだけでは、献立を立てることは出来ません。
そのためには、”葱ぬた”のような料理が不可欠です。こういう単純な一品を逸品に仕立てるのが、料理人としての腕を振るい甲斐があります。
丁寧な仕事が施された”葱ぬた”のような料理を食べると、自分はその後に出される料理に、期待をします。いつまでもそういう心持ちで仕事をしたいものです。
志村
松居棒
厨房の掃除は毎日するのですが、細かいところはどうしても、やらず仕舞となってしまいます。
ガス台のコック周りもそんな箇所です。油汚れは、どうしてもたまってしまいます。
だからといって、やらないわけにもいかないので、手が空いている時を見計らって、やるようにしています。
と、偉そうに言っている自分ですが、自分はどうしても仕込みをやるようになってしまうので、そういう仕事は、女性スタッフに頼むようになってしまいます。
先日、女性スタッフの一人が、こんな道具を持って来てくれました。
「親方、これ知ってます?」
「知らない。」
「”松居棒”っていうんですけど、細かいところを掃除するための道具です。親方の料理と一緒で、私の手作りなんです。」
・・・”まつい”ってことは、野球選手の松井?松井は棒というより、バットだし・・・。
”松居棒”というのは、お掃除好きで有名な女優の松居一代さんが、考え出した掃除用の道具と、教えられました。
ご覧になれば、どんなものお分かりになると思いますが、参考のために、こちらを。
さて、その掃除のやり方です。
先ず最初に、コックの部分に、油汚れの洗剤をかけます。
そこを、ラップで覆います。時間にして、15分程度そのままにしておきます。
ここで、例の”松居棒”の出番です。”松井棒”を使って、ひたすら汚れを落としていきます。
そうこうしているうちに、汚れも落ちました。
”佳肴 季凛”に限ったことではありませんが、飲食店は料理以上に、クレンリネスに注意を払わなければなりません。
ホールは勿論、厨房に至るまでです。ですから、自分は毎日の営業が終われば、換気扇周りなどは、ちゃんときれいにしてから、仕事を終えます。
というのも、汚れているままにするのが、自分自身が嫌なのと、美味しい料理はきれいな厨房で作られるべきものだと、思っていますし、道具を粗末にするようでは職人とは呼べません。
飲食店の仕事には、このような後片付けや掃除のほうが、多いのが実際のところで、そういう部分があってこそ、初めて料理が生まれるのです。
”佳肴 季凛”にいらしたら、自分の料理以上に、スタッフの目に見えない努力を、覚えておいて頂ければ、有難い限りです。
志村
日本料理店の串焼(その2)
日本料理店である”佳肴 季凛”にも、串焼のメニューがあることを、お話ししました。こちらを、ご覧下さい。
”鮪の串焼”ですが、それこそ何ヶ月か一度に、レアものの串焼が、お品書きに並ぶことが、あります。
それがこちらの串焼です。
何の串焼でしょうか?
こちらが、串に刺す前のものです。
蛸(たこ)の口と、くちばしの部分です。
そのままですと、ヌメリもあるので、きれいに落とさなくてはなりません。また、生ですと、固いだけです。
これを適当な大きさに包丁して、串に刺して、塩を振って焼いたものが、”蛸の口の串焼”です。
蛸独特の歯ごたえと甘味が、なんとも言えません。
また、”佳肴 季凛”で召し上がったことのあるお客様は、数える程度のはずです。
蛸の大きさにもよりますが、蛸1パイから、2本しか取れません。このレアものの串焼を召し上がることが出来たら、かなりラッキーだと思って下さい。
志村
携帯会員
いきなりですが、”佳肴 季凛”のホームページの一部が新しくなったことにお気づきでしょうか?
こちらが、当店のトップページなのですが、左側にQRコードが新しくアップしました。
このQRコードを携帯電話で読み込んで頂ければ、”佳肴 季凛”の携帯サイトにつながります。
また、会員登録すると、”佳肴 季凛”からの取っておきというか、旬の食材や、以前お話しした”タラバモドキ”のような珍しい食材の情報が、送られてきます。
また、こんな感じのショップカードも新たに作りました。
パソコンの”お気に入り”だけでなく、携帯電話にも是非登録してみてください。
そうなると、魚市場に行ったら、ますます変り種を仕入れてくる感じがするのは、自分だけでしょうか?
志村
お品書き
”佳肴 季凛”は、会席料理を中心とする日本料理店なので、単品のメニューは、そんなにありません。
また、コースでお出しする料理も、その日の仕入れによって、色々と変わります。特に、刺身で使う魚は、さまざまです。献立は、月替わりというより、日替わりといった感じです。
ですから、日替わりの単品ものは、刺身や焼物が中心です。それらは、毎日自分が、こんな風に、書いています。
自分で商売をやるようになったら、こんな風に、筆(普段は筆ペンですが)を使って、お品書きや献立を書くのが、修業時代からの夢でした。
「何で?」と聞かれることもあります。
「格好いいから。」その一言しかありません。理由はありません。上手い下手の問題では、ありません。自らの手で認める(したためる)ことで、料理への想いを語るというより、語り”たい”だけなのです。
ある意味では、唯我独尊の世界です。
はっきり言って下手なので、時には、お客様に迷惑を掛けることもあります。この場を借りて、「申し訳ありません。拙い字で・・・。」
書き終わったら、こんな風に、額に入れます。
照明の関係で、見づらいのは、お許し下さい。
また、入り口のメニュースタンドにも、経木に書いて、置いておきます。
ランチタイムが、終わって、休憩に入る前に認める(したためる)のが日課です。今日も認め終わったので、休憩に入ります。
志村
追伸 ”したためる”という漢字は、”みとめる”と同じ字だったんですね。勉強になりました。
富士市でランチを食べて、旅行気分
”佳肴 季凛”のランチには、固形燃料を使った”小鍋”が付きます。ホームパージの”昼席”の写真にも載っています。
その内容は、時季によって色々と変わりますが、野菜を沢山使っているのが、特徴です。
白菜、長葱、えのき、茎わかめ、巻麩、豆腐、くずきりが、入っています。
”季(一人前1,500円)”も”凛(一人前2,800円)”も同じ小鍋ですが、凛には、湯葉も入ります。最後に、粉山椒をひとつまみ、入れます。
これに、出汁をいれるのですが、今週からは、赤出汁仕立てにしています。料理の名前は、そのまんまですが、”赤出汁鍋”です。先週までは、”豆乳鍋”でした。入っている食材も全く一緒でした。
その出汁も、ただ鰹出汁に、味をつけたものではありません。
魚の骨を焼いたもの、クズ野菜、出汁を取った後の昆布や鰹節を、時間をかけて、沸き立たせないようにして、出汁を取るのです。
使う魚もその時によって、さまざまです。この鍋に入っているのは、銀鱈、平目です。どれもが、天然の魚なので、旨味が豊富です。ただ、出汁も注ぎたして、取るので、結果的にいろんな魚を使うことになります。
鮪、さより、すずき、ふぐ、ほうぼう、鰆・・・。何種類の魚が入っているのか、自分でも分かりません。
そんなお話しをしているうちに、”小鍋”が沸いてきました。目の前で”あつあつ”を食べることが出来るシズル感は、美味しさを倍増してくれます。山椒の香りが、赤出汁の風味を引き立ててくれます。
召し上がったお客様の多くは、「”あつあつ”が食べれて、うれしい。」、「この出汁は、何で取っているの?」、「こんな鍋が出てくると、旅館で食べる夕食みたい。」と、感想を話してくれます。
”佳肴 季凛”の女性スタッフも、開店当初、「富士市でランチを食べているのに、旅行気分そのものだね。」と、お客様と同じような感想を言っていました。もっとも、今では、そんなこと全く言いませんが・・・。
ランチ・メニューを、”小会席”としている以上、ちょっとした感じというか、普通とは違う感じの料理を、お出しして、地元富士市の少しでも多くの方に、日本料理の良さ、美味しさを知って欲しいものです。
志村
ランチの主菜
”佳肴 季凛”のランチメニューは、こちらをご覧下さい。
”季”の献立には、主菜とあります。日本料理では、このような呼び方は、あまりしません。フレンチやイタリアンではよく使われます。
”佳肴 季凛”の場合、メインとなる”おかず”のことを指します。ここ最近、お出ししているのが、”鯖(さば)の塩焼”です。
ちなみにこの鯖は冷凍もので、ノルウェー産です。正式には、”ニシマサバ”といいます。一本まるごとの姿でも、売られていますが、こんな風に三枚に卸した状態(”フィレー”と呼ばれています。)でも、売られています。
日本近海の鯖(マサバ、ゴマサバ)の漁獲量が減って以来、輸入されるように、なりました。脂がかなりの乗っているので、焼いたり、煮て食べるには、持ってこいの魚です。
自分は、”フィレー”のものを仕入れてきます。ご存知かと思われますが、加工された魚は、”産地”と”加工地”を明記しなくてはなりません。
こちらが、自分が仕入れてくる鯖の箱です。
千葉県で加工されたものです。このような、国産というか国内加工のものだけでは、ありません。
ここまでお話しすれば、もうお分かりだと思います。
中国加工のものです。値段も国内のものに比べ、安いのが現状です。味に差はありませんが、一連の食品の問題を考えると、仕入れるのにも、二の足を踏まざるを得ません。
どんなものを仕入れるにせよ、出来る限り、自分の目で吟味したものを、納得した料理法で、お客様に召し上がって欲しいのは、自分のスタイルであるのは、ご承知のことだと思います。
タイトルと内容が、少しずれてきましたが、先程お話したように焼いて食べると、御飯のおかずには、相性抜群です。
ランチメニューの”季”は、”小会席”とうたっていますが、どちらかと言えば、”和定食”と言った方がふさわしいかもしれません。
ちなみに、今日は”鯖の塩焼”に、”山掛け”を副菜としてお出ししました。”山掛け”のお話しは、こちらを。
こういうものが、献立に入ると、日本料理店のランチと言った感じです。時には、肉類も献立の中に、入れたりもしますが、”佳肴 季凛”に見える地元の富士市や富士宮市の女性のお客様には、今日のような献立が、お好みのようです。
献立を立てる時、特にランチの場合、自分は”佳肴 季凛”の女性スタッフに相談します。女性の気持ちは女性にしか分かりませんし、料理人は兎角、独りよがりになりやすい生き物ですし、特に自分は、脇目も振らない”料理一徹”ですから・・・。
志村